本屋で出会った年上の彼。一目惚れが私の人生を変えた

私には人生を変えた"一目惚れ"がある。この出会いがなかったら、幸せ溢れる今の生活はない。
私は一年前に本屋さんである男性に出会った。その男性の太陽のような笑顔に、言葉通り"一目惚れ"してしまったのだ。
こんな経験は人生で一度もなかったけれど、「この人と仲良くなりたい!」という強い衝動に駆られ、私は彼に話しかけた。本の話で盛り上がり、音楽の話で盛り上がり、旅の話で盛り上がった。何を話していても楽しくて、彼が私の話でクスッと笑って、太陽のような笑顔を見せてくれるのが嬉しくて、そのたった数分で、私は恋に落ちた。
どうしてももう一度会いたい。連絡先を交換し、私からすぐに連絡をした。今振り返ると、「猛アタック」という言葉がピッタリだったと思う。草食系で奥手な彼と、いきなり虎のように肉食系になった私。とにかくご飯に誘った。「本屋さんにも一緒に行きたいし、海にも行きたい。夏祭りにも行きたい!」と、付き合ってもないのに猛烈に、デートのお誘いをした。
会わない日でも毎日連絡を取り合った。彼は30歳と私よりも5つも年上にも関わらず、「連絡は、焦らすのが鉄則」という中高生が信じているような恋愛テクニックを駆使し、私を焦らそうとした。私は、とにかく直球どストレートに好意を伝え、連絡はできる限り早く、丁寧に返信した。この時間が、この上なく幸せだった。
私の猛アタックの甲斐あって、奥手でフットワークが決して軽くない彼は、3度デートをしてくれた。3回目のデート、ご飯を食べて、駅でバイバイをする際、私は「大好きです!付き合いたいです!」とお伝えした。私の好意はダダ漏れだったはずだが、3回目のデートで告白されないということは…私が行くしかない!と腹を括ったのだ。
彼からの返事は…「僕も大好きです。でも、彼氏彼女っていう責任のない関係にはなりたくなくて…」だった。私の心の中は、「は?どういうこと?え?なんで???」だった。遊ばれていたのかなぁなんて、頭の中がぐちゃぐちゃになりながら、呆然と立ち尽くした。
それから数日して、電話がかかってきた。「酔った勢いで聞きたいのですが…僕がもし、『結婚してください』って言ったら、どう思いますか?」とのこと。少し驚いたものの、私は自然に「私もあなたと結婚したいです。よろしくお願いします」と答えていた。すると、耳元に「え?え?いいの?」とあっけらかんとした声が届く。「絶対、幸せにします」と私が心を込めて伝える。「僕も一生をかけて幸せにします」という温かい声が届く。声色から、酔っていないことは明らかで、照れ隠しで言い訳しながらかけてきたところも可愛かった。「責任のない関係になりたくない」と言ったのは、「結婚して、一生を背負います」という意味だったらしい。なんて紛らわしいんだ。言葉たらずな彼が、この時ばかりはこの上なく可愛かった。
お互いの両親には、「結婚詐欺じゃないか」なんて疑われたけれど、私たちは交際0日で婚約し、無事結婚することができた。
今までの人生で、一度も一目惚れを経験したことがなかった私。運命的な出会いなんて、奇跡なんて、この世にないと思っていた。しかし、彼の笑顔は太陽のように明るく私を照らしてくれた。その光は温かくて心地よい。そんな彼が、今は夫になった。夫との生活は楽しくて幸せいっぱいだ。どんなことがあっても、この人だけは味方でいてくれる。私もこの人の味方で居続ける。この人さえ元気で生きていてくれたら、それ以上、何も望むことはない。
物でも人でも、ビビッと来た時、それはきっと、人生において大事にした方がいいと思う。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。