どうせ若者は選挙に行かない。ビビッとくる実現可能性が高そうな政策もなければ、投票結果に自分の一票の価値も感じられないから。
ならば若者が投票したくなりそうな政策を考えてみたいと思う。政策提言するのは「若者贔屓党」なんてどうだろう。名前のまんま、若者が欲しい政策を丸ごとやる党である。

大事なことなので前もってきちんと言っておくが、これは個人による荒唐無稽なフィクションだ。そこのところきっちり念頭に置いて、フィクションとして見ていただきたい。

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<政策その一:税金の支払額は資産に応じた額>

余剰資金なんてあるわけないのに、あくせく働いても給与の3分の1くらい持っていかれるとか税金は高すぎる。本当に何に使っているんだ。
だったらお金のない中間層の現役世代より、富裕層や、諸々一段落して余裕のある老齢世代から、もう少し徴税する方法もあるのではないか。
お金がないから働いて稼いでいるのであって、所得額に応じて累進課税をされても困る。じゃあ働かなくてもいい富裕層はどうなるんだ。私がものを知らないだけならいいのだが、富裕層ばかりうまく徴税を逃れている気がする。

<政策その二:信用度が高い、公的な出会いサービスの普及>

生涯未婚率が上昇しているけれど、結婚したいができない人だって増えていると思う。出生率を上げたいなら、若者たちの良い出会いをもっとサポートしてほしい。国に紐づいた出会い系なら信用度は高いだろうし、利用率も高いかもしれない。
何より結婚するには他人との深い関わりを紡ぎ、維持できる能力が必要だが、能力を身に着けるには経験値の役割も大きいと思う。つまりもっと個人の出会いの機会を増やした方がいい。出会いサービスが普及して経験値が上がれば、結婚できる相手を見つけるのも、結婚機会も、もっとたくさん増えるんじゃないか。

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<政策その三:学費は完全無償>

奨学金の返済に追われる20代なんて嫌だ。勉強したい人が気兼ねなく勉強できる、公平な世の中になればいい。学費無償なら、巡り巡って自分が子育てする側になった時も、気兼ねなく子供の夢を応援できる。大人になってから学び直しとキャリアアップを希望した時だって、さくっと挑戦できるし、そうなれば全体の所得アップ・資産アップと期待できるから、徴税する国の懐も潤うと思う。

<政策その四:子育て環境の無償提供>

保育園探し、送迎、仕事しながら子供のお世話…子育てしている少し上の先輩方は、多くがご夫婦だけで頑張って、疲弊している。しかも子育て世帯は働き盛りでもある。だから理想を言うと、幼稚園や保育園だけじゃなく、もっと周囲の大人たちが子育てに関わってくれるようになれば、子育て世帯にも心と時間の余裕ができるし、子供を持っても大丈夫だ、と思える若者も増えるのではないか。そういう子育てに関わってくれる大人を増やすために、国がお金を使うべきだと思う。

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穴だらけではあるが、ひとまずこんなところだろう。
もっと可処分所得がほしい。良い恋愛がしたい。子育てと仕事が気軽に両立できる環境がほしいーーもちろん異論はたくさん認めるけれど、若者の欲望はとても真っ直ぐでわかりやすくて、それでいて社会全体の利益にも繋がることが多いと思う。たとえば出生率が上がれば、日本社会を支える人口が増えて一人当たりの負担が楽になる。なんでこんなにわかりやすいのに、ぴったりの政策がないんだ。

ちなみにこれを機に、昨今の日本の政策提言をせっせと調べた私は、ものすごーく感心な若者だと自負している。