一目惚れはめったにしない方だと自負している。私は人とは仲良くなるのに時間がかかる方で、欲しいものは吟味してから買う人だ。しかし、100%なかったというわけではない。一目惚れという言葉や考え自体あまり使わないのだが、衝動買いも一目惚れのひとつだろう。悩まず、欲しいと思った直感で手に入れたものはいくつかある。

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去年の夏に出会った帽子。見つけた瞬間、私はとっさに欲しいと思った。水色のキャップ。季節にぴったりな、涼しげで爽やかな色をしていた。つばは大きくしっかりしていて、ちゃんと私の顔を影にしてくれた。

普段帽子をかぶることはほとんどなく、ヘアアレンジもめんどくさがりの私はシンプルに終わらせる。ただのポニーテールや、クリップでまとめてしまって終わりだ。おしゃれさのかけらもない髪型で近所のスーパーやコンビニに行くのが日常だった。だからこそ新しい私のファッションになるのではないか、と心をらせた。

さらに購入を後押ししたのは、セールで安くなっていたこと。値札を見ると、定価はいつも服を買っている店で買うより値段が張っていたが、それが半額ほどにディスカウントされていたのだ。これくらいであれば私でも挑戦できるかもしれない、と思い、買った。

家に帰ると早速袋から出して帽子をかぶり、鏡の前に立った。Tシャツにジーパンくらいのラフさであれば似合うかもしれないな、と思い、次の休みのコーデに使ってみようとクローゼットにしまった。

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私の中で、思いの外ヒットしたらしい。次の日の休みがとても待ち遠しく、クローゼットを開くたびにワクワクした。待ちわびた休みの日、かぶると私にフィットしていて、ますます気分は高揚した。着飾って出かけなくても良い近場には必ず被っていくほどに気に入った。

夏は日差しが強いので、日焼け対策はできる限りするのがマストである私。水色のキャップは、私の日焼け防止アイテムのレギュラーメンバーになった。一目惚れをして、衝動買いをしたけれど、これだけ使えば良い買い物をしたと思っていいだろう。使うたびに、いいアイテムを手に入れた、と満足げな表情がにじみ出ていたかもしれない。

最近は、特に欲しいものを吟味して買うことが増えた。家にあるアイテムを増やしたくなくて、使わないものは買わない、というスタンスを徹底している。なので、一目惚れをしてもちゃんと考える期間を設けて慎重に買い物をすることに決めている。食べ物を勢いで買うことはあっても、服ではめずらしい。ここまで良い買い物をしたのだから、今年の夏も大活躍してくれるに違いない。もちろんたくさん使う予定でいる。

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衝動的に買ってしまうものは、使わないか使えないか、買ってからわかるものが多い。結局使わなかった、と数年後には新品のまま捨ててしまうこともある。洋服にタグがついていた事もあったくらいだ。

一目惚れや衝動買いを許してしまえば、たちまち使わないものばかりで家の収納が溢れてしまう。わかりきっている。だから私は、できる限り吟味するのだ。こういう私なので、衝動買いをして、今もお気に入りとして使えるアイテムに出会えたことはとてもラッキーなことである。何回に一度だろうか。数年に、いや、数十年に一度レベルかもしれない。

これからも吟味して買い物をするように癖づけて行くが、一目惚れをしてもいい買い物をしたと思えるか、を判断基準に加えよう。一目惚れは悪いことではない。ただ私の場合は無駄にしてしまうことが多い、というだけだ。

今回のように、良い買い物をしたと思える判断は積極的にしたい。服もほかのものも、新しいことへのチャレンジや勢いに身を任せてみることはやってみたい。好奇心は大切にしつつ、後悔しない買い物の達人になれるのが理想だ。