大学入学を機に始めた一人暮らし。

初めてのことでわくわくして、部屋の中も自分の好きな色でまとめて可愛い小物を置いて、確実に帰りたくなる家になっていたと思う。だけど「生活」というのはなかなか難しいもので。家事はそんなに好きではないから洗い物をためてしまったり、音楽を流してよしやるぞと気合を入れてまとめてこなしたり…。

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長く付き合った恋人と同棲していた時期もあったけれど、社会人6年目になって実家に戻ってきた。久々の実家はとにかく幸せ。温かいごはんも寝床もあって何不自由なく過ごせている。ただ、どうしてもひとりになりたいタイミングがある。自分の部屋はあるけれど、そういうことではなくて…。高校まではそんな風に思わなかった気がするから、一度一人暮らしの気楽さを経験したからかなと思う。

親は過干渉なわけでもないし実家で過ごす時間は大好きでとても感謝している。だけどひとりになりたい。少し疲れてしまったのかもしれない。自分でいうのもなんだが、会社では良い人だと思うし家族の前でも明るく気遣いのできる子どもだと思う。それが偽りというわけではないが、たまにしんどくなる。でも無表情やトーンの低い声だと心配されるからスイッチを入れている感じ。

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だから今年の冬には実家を出てまた一人暮らしを始めるつもりだ。

仕事から疲れて帰ってきても、気を許せる話し相手がいるという生活が長く続いたからひとりだと少し寂しいような気もする。だけど、何時にどんなご飯を食べても、たまには自分で作らず外食やコンビニに頼っても、お風呂で歌っても、変なダンスを踊っても…何をしても、何をしなくても誰にも何も思われないし言われない。

自分のペースで好きなように生活ができる、誰の目も気にせず堂々とだらけることができるというのは、私にとってはすごく重要なんだと改めて思った。

独りは嫌だけどひとりがいいといったところだろうか。社会生活において誰にも関わらないというのはあまり向いていないが、人と関わるのは社会に向けた「外」の私で十分。仕事終わりや休みの日にまで人と会おうという気力は持ち合わせていないので、「内」の自分を解放しエネルギーを蓄えるには一人暮らしがもってこいだ。

実家暮らしも一人暮らしも経験し、どちらにも良さがある中で今の私が選ぶのはやはり一人暮らしなのだと思う。

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今冬の一人暮らしに向け、どんな部屋にするか、何をしたいかなど目下考え中だ。インスタグラムで美味しそうな海老マヨを作っている人がいて、これだけは絶対に作りたい。自分のためだけの自分の大好物、考えるだけで口角が上がる。観葉植物も育てたいし、コーヒーを豆から挽くのもいいな。パン屋さんが近くにあると嬉しいし、緑を感じられるお散歩コースがあるとなおよし。

他の誰でもない自分が喜ぶ些細な暮らし。家事は面倒くさいけれど、久々に全部ひとりでやったら案外楽しいかもしれない。
大いなる自由とちょっとした煩わしさを抱えながら今しかできないご自愛生活を送ろうと思う。