高校3年生。大学受験の年。夏休みに入る前、担任の先生にこう言われた。

「夏休みに400時間勉強しなさい」

夏休みは約40日。一日10時間勉強すればようやく400時間に到達する計算だ。
そんなにできるかな、と不安になりながら、10時間勉強を始めた。
友達と一緒に朝一で図書館へ行き、閉館まで勉強して、家に帰ってからも勉強する毎日。

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最初はとてもつらかった。今まで一日10時間も勉強したことなどなかったのだから当然だ。しかし、友達と毎日のように会って、会話はないものの一緒に勉強することは大きな励みになった。隣に仲間がいるだけで、やる気が湧いて頑張れた。苦手な科目にも挑戦できた。しだいに長時間の勉強にも慣れ、勉強が楽しいと感じることができるようにもなった。毎日の勉強計画を立てて、時間割のようなものを作ったことも勉強を継続できた理由のひとつだったと思う。

ところがある日、図書館が臨時休館していた。図書館の近くで地元の夏祭りの花火をあげるから、という理由だった。どうしよう、と思ったけれど、友達と話しあって、今日だけは遊んでいい日にしよう、ということになった。
自転車で近くのショッピングモールへ行きプリクラを撮ったり、カフェに入ってたくさん話したりした。この日は勉強のことをすべて忘れて、友達と楽しい一日を過ごした。

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次の日からはまた同じように図書館で勉強。いくら勉強が楽しいと思えるようになったとはいえ、10時間はやっぱり大変。そんなとき、友達と思いっきり遊んだあの日を思い出すと、これからも頑張ろう、という気持ちになって勉強のモチベーションにつながった。

夏休みの400時間勉強のおかげか、無事第一志望の大学に合格することができた。あのときつらい日々を頑張って乗り切れたのは、間違いなくあの日、友達と息抜きができたから。そして、友達と一緒に励ましあいながら勉強できたから。一日でも勉強をサボることには罪悪感があったけれど、息抜きできた夏祭りの日は無駄ではなかった、と今では思う。

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勉強自体は孤独だけれど、仲間と一緒に、それぞれの目標に向かって頑張ることはできる。あのとき、一緒に図書館へ通って一緒に頑張った友達に、感謝したい。

時は流れ、現在、キャリアスクールでWebスキルを学んでいる。これも勉強自体は孤独なものだ。しかし、周りには頑張っている仲間がたくさんいる。頑張っている人を見ると自分も頑張ろう、という気持ちになるし、相談しながら勉強することもできる。そんな日々を過ごしていると、大学受験勉強をした、あの夏の日々を思い出す。今、こうやって勉強を継続できているのも、強制的にでも、勉強の習慣をつけられたからかもしれない。

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今、勉強を頑張っているあなたへ。

あなたは一人じゃないよ。一緒に頑張る仲間はたくさんいるよ。そして、たまには遊んで気分転換してね。勉強する時間も、息抜きする時間も絶対無駄にはならないよ。

勉強することは自分の自信につながる。今は大変でも、将来、きっとあのとき勉強してよかった、と思う瞬間が訪れる。