たとえ「甘え」と言われても、できるうちは実家暮らしを続けたい理由

私は、生まれてからずっと実家暮らしをしている。それに関して、あまり深く考えたことがなかった。しかし、つい最近、とある記事を見て、少し考えさせられた。
その記事によると、一人暮らしを経験したことがある人のうち、約8割がつらいと感じた経験があるとのことだった。私は一人暮らしをしたことがないので、このつらさを感じたことがない。しかし、記事を読んでみると、なんだか納得できる内容だった。
一人暮らしをしたことがない私からすると、一人暮らしの大変さを想像することはできるけれど、想像と実際に味わうのとでは訳が違う。実際に一人暮らしをしている人から、その大変さを聞いたことがないし、職場や街中などでも、他人のそういった声を聞いたことがない。それは、たまたまなのか。私はそれがずっと不思議でならなかった。
もちろん、一人暮らしは気楽な面もあるかもしれないけれど、絶対大変な面もあると想像しているからだ。しかし、記事に書かれていることを踏まえると大半の人が一人暮らしに関して、何かしらのつらさを味わっていることになる。もしかしたら、本当はつらいと感じることもあるけれど、それを皆、打ち明けることなく、やり過ごしているのかもしれないと思った。
そして、その背景には、一人暮らしのつらさを人に打ち明けることに対して躊躇する気持ちが人々の心の中に根付いているのかもしれないという考えが頭をよぎった。
この記事を見て、実家暮らしをしている(ここではあえて、実家暮らしが出来ていると表現する)私は恵まれているのかもしれないと思った。
実家暮らし、あるいは、一人暮らしをしている理由は様々だと思う。好きで自分で選べている人もいるだろうし、家庭の事情などでやむを得ず選ばざるをえない人もいるだろう。自分にとってベストな環境に身を置けるのが一番だけれど、なかなか現実的に難しいこともある。
私は現在、実家暮らしをしているが、いつまでそれを続けようか具体的に考えていない。もちろん、〇歳になったら、実家を出なければいけないといった決まりもない。しかし、実家暮らし=甘えているといった考えや、一人暮らしをしてこそ立派な大人という風潮がないとは言えない。
実際に誰かからそのように言われた訳ではないけれど、自分の意志とは別に、そのような風潮に対する建前として一人暮らしを選択している人もいるかもしれない。けれど、それは、決して悪いことではないと思う。
私がもし一人暮らしをするとしたら、一番気がかりなのは会話の相手がそばにいないことだ。会話と言っても、そうたいそうなものではなくて、ちょっとしたことをぼそぼそと話す程度で良い。
もちろん、職場の人と話したり、プライベートで人と約束を取り付けて話すことも出来るけれど、職場で話すのも色んな意味で限界があるだろうし、プライベートでわざわざ約束を取り付けて話す程のことでもない場合がほとんどだ。やはり、一緒に暮らす人がいる、家でなんでもないことを話すことができるという環境は大変ありがたい。
しばらくは、この恵まれた環境に甘えるのも悪くない。なぜなら、私の中で、できる環境が与えられているうちは、その環境に浸っておきたいという考えがあるからだ。何事においても、したくても出来ない時だってある。そう考えると、出来るうちは、その環境に身を置こう、それが私の考えである。
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