「留学しなかった私」が30歳で知ったのは世界の広さと視野の変化

私はいま、社会人数年目の30歳だ。
そんな私にもかつて大学時代があり、留学へ行きたいとひっそりと夢見る学生生活を送っていた。
だがしかし、結論から言うと私は学生時代に留学へ行くことは叶わなかった。
なぜならば、時間とお金を言い訳に、その夢をあきらめたからだ。
何を隠そう、私は大学受験で浪人を経験している。そのため、実家には金銭的な面でこれ以上迷惑はかけられないし、かといってアルバイトに打ち込みすぎるのは勉学をおろそかにしてしまいそうで嫌だと考えていた。
なにより当時の私は、外の世界を知ることへのあこがれと同時に、何か大きな不安を感じていたのかもしれない。
そんなこんなで4年が過ぎて社会人となり、のちに夫となる同い年の男性と出会った。
話を聞くと、彼は大学や大学院時代に研究などでアフリカやヨルダンに行っていたらしい。
旅行では、なんと北朝鮮にも行ったことがあるとか。
数多くの国を訪れた彼の話は、もちろん面白い。
それ以上に、生きてきた時間が非常に濃厚だと感じた。
「私と彼は同い年なのに、彼は私が知らない世界をたくさん知っている」
衝撃を受けた。それと同時に、私の中で再び「海外へ行ってみたい」という思いが芽生えた。
そうして月日は流れ、彼とベトナムへ行くことになった。
私の人生で初めての海外渡航である。
現地に到着すると、そこに広がる世界は、これまで自分が見てきた世界とはまるで違っていた。話している言葉はもちろんのこと、文化や気候、歴史などもまったく異なる。
私はとても感動した。少し足を踏み出した先には、こんな世界が広がっていたのか。
そうして、海外を知ることへの不安が、いつの間にかワクワクへと変わっていった。
さらに月日は流れ、新婚旅行でイギリスへ行くことになった。
そこは、私が大学時代にずっと留学先として行きたいと思っていた場所だった。
2週間という滞在期間は留学に比べればずっと短かったけれど、そこには私が知りたかったことや感じたかったもの、見たかった景色が広がっていた。
「外の世界には、国内では知ることのできないものがたくさん広がっている」
改めてそう実感した。
もし大学時代の自分に会えるとしたら、こう言ってあげたい。
「外の世界は、今のあなたが考えているよりもワクワクがたくさん広がっているよ。思い切って行ってごらん」と。
もちろん実際にはそんなことはできないし、過去を変えることもできない。
けれど、未来は変えることができる。
私はこれから少しずつ、一歩ずつ外へと広がる世界を私自身の目で見て、感じて、自分と異なる文化を理解したいと思う。
現地で見える景色やにおい、人の温かさや歴史を、スマートフォンの画面越しにすべて感じ取ることはきっと難しいはずだ。
今、もしも当時の私と同じように、漠然とした不安を抱えて海外留学をためらっている人がいるのなら、とにかく一度思い切って行ってみることをおすすめしたい。
一緒にこれから世界を学んでいこうじゃないか。
留学のハードルが高ければ、まずは数日の海外旅行でもよい。
思い切り一歩踏み出した先には、きっとあなたが知りたかった世界が待っているはずだから。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。