スウェットで同窓会へ。誰かの正解よりも「自分の好き」で選んだ結果

去年、地元のおしゃれなレストランで高校の同窓会が行われると連絡があった。新型コロナも落ち着き、25歳というキリの良い年だからと催された。社会人になったこと、また新型コロナの影響でなかなか集まる機会もなかったので、実に数年ぶりの再会だった。
久々に会えることへのわくわくと緊張以上に、正直、最初に悩んだのは「何を着ていけばいいんだろう?」ということだった。フォーマルすぎても浮きそうだし、カジュアルすぎても場違いになりそう。
ネットで「同窓会 服装」と検索してみると、出てくるのはきれいめなワンピースばかり。今でも仲のいい高校の友人たちに聞いてみても、「やっぱり王道にワンピかな」「結婚式に参加した時のセットアップを着ようかな」と口をそろえる。
だけど私はというと、そもそもワンピースなんて1着も持っていない。昔からスカートは落ち着かなくて、パンツばかり履いていた。服の系統も、カジュアルでメンズライクなものが好き。スニーカーにダボっとしたトップス、ストリートブランドのアイテムが大好きだった。
そんな私が、この日のためだけに「らしくない服」をわざわざ用意することに、どうしても違和感があった。
迷った末、思い切って“自分の好き”を優先することにした。選んだのは、ストリートブランドの黒いスウェットワンピース。スカートのように広がっているわけではなく、シルエットはすとんとしていて、ちょっとオーバーサイズなものだ。素材は柔らかくて着心地も抜群で、何より、これなら普段使いもできるし、「自分らしい」と心から思えた。
当日、少しだけ不安を感じながら会場に向かった。電車に乗っている間、周囲の視線が気になって「やっぱりもっときれいめな格好にすればよかったかな」とか、「みんなにどう思われるんだろう」とぐるぐる考えてしまった。
でも、会場に着いてそんな不安はすぐに吹き飛んだ。
久しぶりに会う同級生たちは、スーツを着ている人もいれば、ドレッシーなワンピースで華やかに決めている人もいて、本当にさまざまだった。
誰かと比べて浮いている感じもなかったし、むしろ「その服、かわいい!」「似合ってるね」と何人もの友人に声をかけられた。中には「○○っぽくていいね!」と言ってくれた人もいて、それが何よりうれしかった。
あのとき、周りに合わせようとして無理して自分らしくない服を選んでいたら、こんな風に自信を持ってその場にいられなかったと思う。
誰かの「正解」に合わせるよりも、自分が「好き」と思えるものを選んだことで、自然な笑顔で人と話せた。そんな自分を、少し誇らしく成長したなと思えた。
結局のところ、服はただの布じゃない。自分をどう表現するか、どう在りたいかを映し出す鏡みたいなものだと思う。あの日私は、周りの「正解」ではなく、自分の気持ちに正直になることを選んだ。その結果、心から楽しめた時間があった。
だからこれからも、何か特別な日の服選びに迷ったら、「みんながどう思うか」よりも、「自分がどう感じるか」を大事にしたい。たとえ少し勇気がいったとしても、自分らしくいられる服こそが、いちばん素敵なんだと思う。
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