恥ずかしかった汗はがんばりの証。汗っかき体質を少し好きになれた

私はかなり汗っかきで、少し暑ければすぐに汗をかいてしまう。汗をかけば髪はボサボサになるし、服もベタベタになるため、汗が出ることは好まない。だから夏は好きではないし、趣味もインドアなものばかりで、運動も好きではなく、ほとんど外に出ない。いわゆる出不精だ。そんな私だが、とても汗をかくアルバイトをしていた。滝のように汗が流れてくるようなバイトを。
学生時代、あまりバイトをする時間がなかった。
とはいえ、お小遣いはほしい。
不定期で入れる単発のバイトを探して見つけたのは、倉庫でピッキングをするバイトだった。単発1日から働くことができて、時給は1200円。当時の田舎の相場にしてはかなり良い。
朝9時から18時までの8時間労働で、学校がない土日や夏休みなどにしか働けないことが難点だったが、繁忙期のみ期間限定で多くのアルバイトを募集するようで、募集がある時期もゴールデンウィークや夏休みなどの長期休暇の時期だったため、行ってみることにした。
仕事内容は、塾の教材を扱っている倉庫内でリストに書かれている教科書やプリントを倉庫内の棚から順番に集めたり、梱包したりすることだ。
倉庫内を歩き回っていなければならない仕事であるものの、仕事内容としては難しくなく、午前午後に1回ずつ15分の休憩時間もあるホワイトな単発バイトだったため、応募もたくさんあるようだった。
しかし、夏を除けば、だったが。
私は春に初めて単発でそのバイトに行き、夏には直接会社から連絡が来た。良いバイトだと思っていたため、断ることもなく夏にも行ってみることにした。
ところが、いつも50人程度いるバイトの人たちがその日は半分程度しかいなかった。
不思議に思いつつ、仕事場である倉庫に行って理解した。倉庫の中は想像を絶する暑さだった。
倉庫だから当たり前なのだが、まずクーラーはない。大型の扇風機は各所にあるが、その程度で室温は下がらない。
しかも倉庫内は段ボールに入った教科書が積んであったり、プリントが置かれた大きな棚がずらっと並んでいるのだ。窓も開いてはいるが、風なんか通らない。
さらに、一応肉体労働。リストに書かれたものを集めてこなければならないため、倉庫内を歩き回っている。ずっと身体を動かしているのだから、そりゃ暑い。昼頃からはもう身体中から滝のように汗が流れてきて、服はびしょ濡れだ。周りの人も同じようで、ネッククーラーやひんやりタオルなど冷感グッズを持ってきている人もいた。
もちろん、会社は熱中症予防をしっかりしてくれる。普段よりも休憩は多く、午前午後に2回ずつあった。倉庫内にウォーターサーバーもあり、水分補給はいつでもできた。
熱中症対策をしっかりしてくれる良い会社だが、それでも暑いものは暑く、不人気な理由はこの暑さだろうと理解した。
私は冒頭でも述べたように汗っかきだから、バイト中、周りの人よりたくさん汗をかいているのが恥ずかしかった。
一生分の汗をかいたのではないかと思うほど大量に汗を流していたが、バイトをしているうちに、流れる汗のおかげで自分が真面目に働いていると実感できているのではと考えるようになった。
真夏は動いていなくても暑いが、汗を流すということは、それだけ頑張って動いているということ、働いているということだ。人一倍汗をかく自分を恥ずかしいと思っていたが、仕事中に流れる汗は、人一倍仕事を頑張っている証拠だと思えた。
そもそも、汗っかきというのは代謝が良いということで、健康的なことだ。
恥ずかしがることは何もない。
流れる汗と共に働いて、汗っかきなこの体質と真夏の暑さを少し好きになれた日々だった。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。