期待外れの短期留学。後悔だらけの日々のなかから見つけ出したもの

この夏、過去の思い出を追い求めて地中海に浮かぶ国マルタ共和国へ短期留学をした。
マルタは10年前、私が大学生だった頃に3ヶ月間留学した思い出の地だ。
今回の留学の目的は、3つ。
1つ目は思い出の地を巡りながら、自分と向き合う時間にしたかったから。ある種の現実逃避であり、自分を労わるための時間にしたかったのだ。マルタの海は気分をリラックスさせてくれる。
2つ目は、英語の先生なのに英語に自信を持てない自分とサヨナラしたかったから。
私は英語の教員として働いているが、教壇に立つことに実は自信が持てないでいる。
そんな自分が嫌いだ。
3つ目は、「生徒に短期留学って意味ありますか?」「効果ありますか?」と聞かれるも、実際のところどうなんだろうと思っていたから。生徒からの質問に答えられない、そんな自分も先生失格のような気がして好きではない。だから自分の時間とお金を使って自分自身で実験してみようと思った。短期留学にどんな効果があるのかを…。
実際、今回の留学は私の期待外れの物になってしまった。初日からトラブル続き。トラブルも留学経験の1つ。そういう人は多いけれど、今回はそんな風に物事を前向きにとらえられない私がいた。過去の思い出に浸りに行ったのに、すっかり面影も無くなっていて、自分の過去の思い出が無くなってしまったような気がして悲しくなった。
過去何度も海外に滞在しているものの、初めて早く帰国したいと思ったくらいだ。
いつもなら、あっという間に過ぎていく海外での滞在時間も長く感じたし、もっと滞在したいとは思えなかった。こんなにお金も費やしたのに、なんでこんなに満足できないんだろう?モヤモヤするんだろう?そんな不満と疑問だらけで始まった留学だった。
だから私は分析をすることにした。何が私をこんなにもモヤモヤさせているのかを。
まず、良くも悪くも10年の間に私自身が大きく変化したことが要因。
過去の私は、感受性がもっと豊かだったし、もっと新たな挑戦へのエネルギーがあったように思う。今はないとは言い切れないが、なかなか昔と同じようにはいかない。年齢には抗えないって、こういうことだと痛感した瞬間だった。
でも変わらない私もいた。変わらない自分を見つけた瞬間、なんだか嬉しかったし、ほっとした。海外では開放的になれる。自由な自分でいられる。自分の好きな自分でいられる。そんな自分が好きだ。今回に限っては、マルタでの海外での生活は決して好きではなかったけれど、いいこともあった。
一緒に暮らした仲間には恵まれた。たったの2週間だったけれど本気で心配してくれるフラットメイトに出会うことができた。私が現地で突然高熱を出したとき、本気で彼らは心配してくれて、私が緊急病院から帰宅するのを深夜まで待っていてくれた。動けない私に食料品を運んでくれた親友にも出会えた。ほかにも同じ価値観を持って、高めあえる生涯親友と呼べるであろう日本人とも出会えたことは大きな収穫である。
自分の価値観や自分自身の変化にも気が付き、新たな人との出会いに恵まれた今回の留学は、私にとって価値あるものになったと思っている。
英語力もまがいなりにも上がった。やはり価値のないことはなかった。なんだかんだ言って高額な費用を支払って自分に投資したことに後悔はしていない。
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