貴方のいない世界には未来がないと思っていた。それでも

貴方のいない世界を想像することが出来なかった。貴方が私の全てだった。
20代前半の私は3年間想った相手が居た。
今思えば、ただの憧れの存在で私が持ってないモノを持っている年上の男性だった。最初に出会った時から1年後、ふとしたキッカケが2人を繋いだ。夜、相手からの連絡に何の気無しに返事を返し、ドライブに出かけた。朝まで語り尽くした。楽しかった。一晩で相手のことを知れた気がした。
私と同じ境遇で生きて、同じ匂いがした。とても惹かれた。私は同じくらい苦労して生きてきた人にとても惹かれる。それは相手も同じだった。
しかし、私が幼過ぎた。
相手は4つ年上の相手だった。落ち着いて自分軸を持っている人で自由な人だった。憧れていた。趣味もこれと言って無かったから、多趣味な年上の男性にとても惹かれた。私が若過ぎて相手を苦しめてしまった。相手はそんな苦しんでいる私を見て苦しんでいた。付き合って、別れてを繰り返していた。最後の復縁を私から申し出た。しかし相手は私と別れている間に、既に次のステップへ進む準備をしていた。私たちの住んでいた地域を離れるとのことだった。付き合えなくても、離れていて貴方の夢を遠くから応援したい。と伝えたが、相手に私の思いは届かなかった。
次の相手にその一途な想いを使ってあげて。と言われた。最後まで意思の通じ合わない2人だなと思い、泣きながら怒りをぶつけた。怒ったら相手に嫌われると思い怒った。後腐れなく喧嘩別れをしたかった。その後、初めての復縁をしたけれど叶わなかった恋があるんだ。もう恋愛なんて出来ないと思い、泣き叫んで朝を迎えた。
大好きな人も居ない地元に残る意味は無いと決心したタイミングで職場からの異動についての意見を聞かせてくれ。と言われた。とても興味を持った。その話を聞いているとワクワクした。知らない土地に1人で生活をして人間関係もイチから作る。そんな未来に胸が躍った。その想いは会社の上層部まで届き無事人地元を出たいタイミングでの異動が叶った。人間性も価値観も文化も方言も違う土地。全てが新しかった。高揚感で眠れない夜もあった。
新天地での生活に慣れ始めた3ヶ月後に、知り合いの友達と飲む機会があった。
そこで知り合った、2歳年下の男性。
後から話を聞くと初対面で私が挨拶をした瞬間に雷に打たれたような衝撃を受けたとのこと。その後彼からの猛アピールに気付かずに1ヶ月が経った。痺れを切らした彼から告白され無事に付き合い始めた。とても良い子で純粋で、真っ直ぐで、正義感のある心の優しい男性だった。こんなに素敵な方に出会ったことはなかった。そんな彼も付き合いが長くなるにつれて過去の話をしてくれた。自身の体調、家族構成、過去の恋愛、過去の出来事で苦しんだこと。とても強い子だなと胸を打たれた私は気付いた時には泣いていた。あぁ、この子は私が守りたい。頑張ったきたこの子を私が安心させて笑わせて美味しいご飯を作ってあげたいと心の底から思った。
どんなに辛い失恋をしても、もう恋愛なんて出来ないとどん底まで落ちたとしても、負けないで自分の人生のために、今まで頑張ってきた自分を労わるために、行動に移すことが出来たから人生のパートナーに出逢えた。
失恋直後の私は、貴方のいない世界には未来がないと思っていた。
しかし、今の彼と過ごしていると、貴方がいない世界など私の人生においてあり得ないと思っている。
そんな彼とは今年中に家族になる予定だ。
私にふたたび恋愛の楽しさと安心感と優しさを教えてくれる彼を私は絶対に幸せにする。そう思える人生はなかなか素敵じゃないか。と思いながら生きている。
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