留学先で出会ったイギリス人の親友が日本へ。彼女と一緒に叶える夢

私の約11ヶ月間の留学生活は、例えるなら果汁をぎゅっと凝縮したような、これまでの人生の中で最も濃密な時間だった。何もかもが限られている、と思うと一日一日を大切に過ごそうと思えた。
高校のときからの夢だった留学。コロナを経験して本当に行けるのか不安になったこともあったけれど、最終的には夢への切符を手にすることができた。家族や友人、たくさんの人に心配をかけ応援してもらって手に入れた夢。留学したことに後悔などなく、留学していなかった世界線について、想像もできない。
今年の6月に、1年間韓国に留学をしていたイギリス人の友達が日本に会いにきてくれた。彼女はイギリス留学時に仲良くしてくれた親友だった。帰国前、その子の実家に泊まらせてもらい彼女の家族にもよくしてもらったから、今度は私が最上級のおもてなしをしたかった。
私は、彼女が私の地元で過ごす間の最高のプランを練った。彼女と着物レンタルをして観光地を歩くと、街ゆく外国人観光客の視線を集め、一緒に写真を撮ってほしいと頼まれた。これまで住んでいて、地元でそんなふうに声をかけられるのははじめてだったので、少しの戸惑いと嬉しさを感じた。度々居合わせた団体のツアー客は、にこにこと私たちに笑いかけた。写真を頼まれて一緒に撮ったあと私が出身を尋ねると、偶然にもイギリスからきたおばあちゃんだった。それで、私がイギリス留学をして彼女と出会ったこと・彼女が私に会いに来てくれたことを話した。
まあ、なんて素敵なの!と言ってくれてなんだか不思議な感じがした。よく聞くと、彼らの発音はイギリス英語だった。それから、知り合いの英語が上手な神主さんに、彼女に神道や神社について説明してほしいと頼んだ。一緒に願いを叶えるというお守りにそれぞれ願いを書いたのだが、彼女はdream come trueと書いていて、神主さんに夢は何かと尋ねられto be an authorと答えた。その言葉にはっとする。そうだ。私も、作家になりたかった。
「物語を書くのが好き」
初対面のときに聞いたこと。共通の趣味を見つけて、仲良くなりたいと思った。私は、次も会いませんかと誘った。彼女と一緒に、物語を書くサークルに参加したこともあった。
偶然にも、東京で用事ができたため、残りの数日間東京に滞在する計画を立てていた彼女と一緒に、私も東京へ行くことにした。用事を半日で済ませ、私たちはチームラボやディズニーシーに行き、東京観光をした。本当に、夢のような時間だった。
これは私の想像にすぎないのだけれど、彼女は1年間の韓国留学で、様々なことを経て自らの作品の引き出しを増やしてきたのだろう。きっとこれから、それらは彼女の執筆人生を鮮やかに彩るであろうし、それは私にも同じことが当てはまる。私はずっと、急激に増えすぎた情報を処理しきれずにいた。帰国して、変わってしまった現実を受け入れるのに必死だった。留学した分、同級生より遅れを取って1学年下の子と学ぶ大学生活。新しい環境に適応する必要があったのと、日々の忙しさに紛れて、最近は書くことを怠っていた。平凡で退屈な日々に、嫌気が差す。大きな目標を達成して、自分はこれからどこへ向かうべきか迷子になった。
一つ一つの出会いが偶然で、必然なのだと思う。留学前に知り合ったドイツ人の友達も、未だに手紙をくれるイギリス人の友達も、私に会いに日本にきてくれた親友も。そういうやさしい人たちと、ご縁をつないでいきたい。
帰国して1年が経った。そろそろ、次のステップに踏み出したいと思った。観光地でバイトをしていて英語は使えるけど、日常会話のような会話のやり取りはできない。地域の国際交流のボランティアに参加してみよう。今年は、ずっと書けていない小説に挑戦しよう。これまで、昔なりたかった夢を思わぬ形で実現してきた私は、運がいいのだと思う。大丈夫。その調子で一歩踏み出そう。私なら、未だ叶えていない夢も叶えられるはず。言い訳ばかり探していないで、彼女と一緒に夢を叶える!
明日の私は、今日の私よりも進めているといいな。
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