「スマホ社会」からスマホを数日間排斥した。心に静けさが戻ってきた

私は、インターネットが嫌いだ。
SNSを眺めるだけの毎日。
スマホがなければ進まない手続き。
通販もチケット予約も、すべてネットを介している。
確かにインターネットの普及によって生活は格段に便利になった。
けれどその裏ではうわべだけの交流、買えないチケット、転売された商品に振り回される日々がある。
正直、面倒くさいのだ。
SNSの人間関係は表面的で心が通う実感は少ない。
キラキラした写真の裏にある現実は、誰も語らない。
誹謗中傷やサイバー攻撃、詐欺。
見たくもないものが画面の向こうに溢れている。
それでもスマホは生活の一部になってしまった。
もはや生活する上で必要不可欠な存在だ。
人とのやり取りも、必要な権利を得るための手段もすべてスマホを通して行われる。
今やスマホを持っていない学生はグループから外されてしまうことすらあるかもしれない。
それほどまでに、スマホは社会の中心にある。
そんなある日、ネットの言葉に心が疲れ果てた私はスマホから距離を置くことにした。
何日見なかったかは覚えていない。数える必要もなかった。
結論から言えば、困ったことは何もない。
好きなアニメのグッズもスマホを見なければ存在すら知らない。
厄介な連絡に感情が惑わされることもなく、気分が下がることもない。
予定は紙のスケジュール帳で十分だった。
意外なほどスマホなしでも生きていける。
それが率直な感想だった。
嘘の情報に苛立つこともなく、他人と自分を比べる材料もない。
誰かの成功や幸せを見せつけられることもなく心は静かだった。
「みんなの世界からスマホが消えればいいのに」
そんな思いが心の底から湧き上がった。
けれど現実は誰もがスマホを持っている。
電車の中でも、食事中でも、歩いていても。
みなスマホを持って見ているのだ。
私だけが持っていないと情報に置いていかれる。
その従属の感覚が何より苦しい。
しかし私はこの「スマホ社会」からスマホを数日間排斥したことで、はっきりと分かった。
数日間スマホを見ていないだけで困ることは少ない。
気疲れや感情の起伏が激しくなることもない。
むしろ、心が落ち着き静けさが戻ってくる。
ネットの世界に疲れた人へ。
他人と比べてしまう人へ。
一度、スマホを見ない時間を作ってみてほしい。
意外と困ることは少ない。
そして何より心が静かになる。
インターネットが苛立ちや悲しみを生まない世界になってほしい。
私は、そう願っている。
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