豪華客船の上で5泊6日のデジタルデトックス。のはずが
今年の誕生日には、豪華客船のクルーズに出かけた。
行き先は大西洋に浮かぶ島、イギリス領バミューダ。
私はこの船に乗って、ある挑戦をすることにした。
それは、このクルーズ旅行中はスマホから離れるということ。
海外へ旅行に出かけるということは、同時に電波のつながらない場所へ行くことでもある。
私は今回あえて海外での通信サービスを申し込まず、スマホを触らないことにしたのだ。
スマホから離れるにあたって、私にはいくつか準備が必要だった。
まず、時計。
私はいつもは時計を持ち歩かず、スマホか作業中のパソコンで時間を確認している。
そして、スマホがなくても撮影できるように、カメラも用意。メモ用に紙とペンを用意した。
これで、スマホの代替手段は完璧だ。
連絡が取れないことで心配させることは避けるため、家族と同僚だけには連絡が取れないことを伝えた。
ここから、私の5泊6日のデジタルデトックスが始まった。
乗船してしばらくは、スマホを意識せず過ごしていた。
クルーズそのものが非日常的な空間であるので、連絡が取れないこと、SNSを確認できないことなど、全く気にならなかった。
目の前には大海原。
24時間、自分が好きな時に好きなだけ豪華な食事を食べられる。
お酒の種類も豊富で、初めて見る名前のカクテルに心が躍る。
それだけではない。
船内にはプールをはじめ、ミニゴルフ、バスケットボールコート、ゲームセンターなど、とにかく思いつくだけの娯楽は全て詰め込まれている。
スマホを見るよりも楽しい時間に、YoutubeもSNSも必要ない。
でも私は結局、スマホから離れることはできなかった。
電波が届かないクルーズ船内でもスマホは必須。
まず、船内の地図はアプリを通じて発信されるため、スマホがないと船内を歩くことすらできなかった。
ジャーナリングをするために持参したメモ帳も使用せず、結局スマホのメモアプリへ。
写真を撮るのも、カメラよりスマホの方が早い。ビーチに行く時には、防水カバーに入れてスマホを持ち歩いた。
つながらないとわかっているのに、SNSを開けている自分もいた。
特に、朝起きた時に一通り確認する癖は抜けなかった。
待ち合わせができなかったのは致命的だった。
私たちはたまたま友達と同じクルーズ船に乗っていた。
口頭で時間と場所を指定していたのに、うっかり寝過ごしてしまい、待ち合わせ時間の20分後に到着した。友達はそこにいなかった。
私たちが寝過ごしたからか、彼らにトラブルがあったからかはわからない。
スマホでメッセージを送れれば、自分の居場所や遅刻の言い訳ができたのに。
スマホがない時代の人は、どうやって待ち合わせをしていたのだろうと不思議に思った。
あれだけ準備してスマホから離れると決意していたのに、私は結局スマホから離れることができなかった。
同時に、いかにスマホが便利なものかも知った。
たった一つの小さな機械が、私たちの生活をこんなにも助けているのだ。
しかし、その便利さと引き換えに、私たちは本当に必要な連絡ではない、無駄な時間もたくさん費やしていることに改めて気づかされた。
この旅は、私のスマホとの向き合い方を教えてくれた。

かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。