大人になり初めてできた男友達は年の離れたおじさんだった

私には、月に一回くらいの頻度でメッセージのやり取りをし、たまにその人を含む複数人で飲みに行くような年上の友達がいます。
その人は男性であり、結婚し子供も二人いる立派な父親でもあるのですが、彼とは私の前の職場で知り合いました。
同じフロアではあったものの部署は違ったため、最初はすれ違った際に挨拶を交わす程度であったのですが、喋るようになったのは当時彼が私の教育係であったこと、それと共にその部署に長年君臨するお局おばさんの存在がきっかけでした。
彼とそのお局は仲が良く、同じフロアとはいえ部署が違うにもかかわらず、休憩の時間などになると彼はよくお局の席に話をしに来ていたのです。
ある時、ちょうど来たタイミングが私が仕事でちょっとしたミスをしでかし彼女に詰められていた時だったのですが、その日の退勤後、駐車場へと向かう道中で彼とバッタリ会ってしまったのです。
いつもであれば、ただお疲れ様です〜と軽く挨拶をし立ち去るのですが、その日は昼間の事もあってかさっき大丈夫だった?と声を掛けられました。
入社してからの月日が少し経ち慣れてきたのと同時に日々のストレスがひしひしと溜まってきていた私は、ついその人に彼女に対する愚痴を言ってしまったのです︎。
彼女と仲が良いのだからあまり変な事を言ったら告げ口されるかもしれない、そういう懸念が頭にない訳ではありませんでしたが、当時ロクに仕事の愚痴をこぼす相手もいなかった私にとっては自分の立場よりも目先の鬱憤を晴らす事が最優先だったのです。
その人はうんうん、と相槌を打ち
「たんこさんって大人しそうなのに結構言うんだね笑」
と私の愚痴を面白がって聞いてくれました。そして、その日から私達はすれ違う度に立ち止まって世間話やお互いの上司に対する不満などを結構赤裸々に話すようになったのです。
当時は今では考えられないくらい業務と人間関係においてストレスが溜まっていたため、今思えば理不尽な言動をされた事に対する愚痴をいつも聞いてくれていたあの人の存在はとても大きかったなと思います。
そういう存在がいなかったら、私は心身ともに崩壊していたかもしれません。
また、仕事上でお互いに関わる事がほとんどなかったのも仲良くいられた一つの理由と言えるでしょう。
たとえ意気投合して一時よく話すような間柄になったとしても、仕事上で関わりトラブルが起きてしまったりするとお互いの関係性が気まずくなり、それが仕事外にも影響してしまう事ってよくあると思うんですよね。
また、こぼした愚痴をその人からお局に言われることもなかったため、その点も安心できました。
私は今までずっと女子だけの空間の中で育ってきたため、大学で男女混合のインカレサークルに入って表面上の付き合いはできても、男友達と呼べるような存在は中々作る事ができませんでした。
そんな中で、きっかけは会社の愚痴というマイナスなものではありますが、年の離れたおじさんの男友達ができたのは自分にとってはほんとに予想外の事であったため、人生どこで誰と仲良くなるか分からないものだな、と今でもしみじみと感じます。
また、その人は顔が広く、かなりの情報通であったため彼と仲良くしておけば大体会社で起きている事や面白い話は耳に入れる事ができました。
沢山の人と関わるより、情報網の広い一人と繋がりを持っておく方がメリットになる事もあるのだから驚きです。
また、お互いに月に一回くらいしかメッセージに対する返信をしないというのも非常に気楽で良い点と言えるでしょう。
普通一度退職してしまったら、もうその会社の事なんて何も分からなくなってしまうものですが、彼から時折情報が入ってくるおかげで今でも組織内で何が起きているのかをある程度把握できるため、非常に有益だなぁと思う今日この頃です。
学生の頃は、友達ってせいぜい一個か二個上が限界なんだろうなぁと思っていましたが、社会に出てより関わる年代が広がると、意外と年が離れていても仲良くする事ができるものなのだなという可能性の広さを感じました。
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