胸が小さいことも、自信を持てない自分も嫌だった。そんな私に訪れた変化

私は私の小さな胸が嫌いだった。形は悪くないが、とにかく小さい。揺れるほどもない。寄せて谷間なんて夢のまた夢。「大人になったら大きくなるかな」と小さな胸に大きな期待を抱いていた10代だったが、年齢を重ねるだけでそう簡単には大きくなるはずもなく、結局30歳になった今も、学生時代と同じサイズのブラジャーを付けている。
胸の小ささは夜の自信にも比例して、行為をするときも胸を見られるたびに「小さいし色気なくてごめん」という思いが毎回私の中を駆け巡った。
嫌だった。胸が小さいことも、自信を持てない自分も。むしろ本当に嫌だったのは、「自分の小さな胸」ではなく、「小さな胸を自分の個性として受け入れられない自分」だったのかもしれない。周りで大きな胸の子を見るたび羨ましくて、「胸が大きいと肩がこる」という悩みでさえも、私にとっては幸せな悩みだと思えた。
昔、好きな人のタイプが「胸が大きくて可愛い人」だと知った時には、もうそれだけで大失恋したような気分にもなったし、「身体の一部である胸に、どうして私の心を左右されなきゃいけないんだ」なんて、一人でモヤモヤした夜もあった。お風呂に入るたび、着替えをするたび、必ず色んな角度からチェックをし、「あぁ、やっぱり今日も小さい」と思っては、小さくため息をついてばかりいた。
しかし、そんな日に突然終わりがやってくる。とあるフィットネストレーナーのSNS投稿をきっかけに、私は10代の頃の期待を思い出すことになるのだ。
その方は40代後半で各地にスタジオをもつフィットネストレーナーの代表であった。とても素敵な見た目。大きな胸にキュッとしたくびれ。引き上がったお尻と真っ直ぐで長い美脚は、だれがどう見ても40代後半とは思えないプロポーションだった。
「きっと昔から綺麗な人なんだろうな」と思って他の投稿を見ていると、その方が30代だった頃の写真と今の比較画像がアップされていた。なんと、今よりも若かった30代の頃は、別人級の見た目だった。細いがくびれの位置がだいぶ低く、胸も小さい。お尻は少し垂れ気味で足も今ほどスラっとはしていなかった。
衝撃だった。なぜこれほどまでにこの人は変わったのか。何をすれば私もこの大きな胸と美しい体型が手に入るのか。どんどん溢れ出る疑問と好奇心が、スマホをスクロールする指先に伝わっていく。その方の投稿を更に見ていく中で、独自のトレーニングがプロポーションの秘訣だと知った。
体型を変えるのに年齢なんて関係ない。他のトレーナーの方たちも、トレーニングを始めてから胸が大きくなり、姿勢が変わり、そして自分に自信が持てるようになったとのことだった。その情報を目にし、私も早速そのトレーニングをすることを決意。自宅付近にスタジオがなかったため、オンラインで受講することにした。
正直、どの動きもものすごく痛い。これまで意識してこなかったツケだろう。あらゆる場所が正しい位置に戻ろうとする度に「痛い痛い」と一人で嘆いていた。しかし、レッスンが終わる頃には身体が軽くなり、胸も開いて顔もスッキリとしていた。「たしかにこれは継続すれば身体変わるな」と1回で実感。その日から私の日課となった。
まだ始めて数週間だが、姿勢が前より良くなったと自分でもわかるほどに少しずつ効果が出てきた。それに伴い、前屈みで小さく見えていた胸も、堂々と開けるようになり、前ほど嫌いだと思わなくなっていた。サイズアップにはもう少し時間がかかるかもしれないが、何事もコツコツさが大切だと、改めて期待で胸を膨らませた。
気持ちと行動次第でコンプレックスを受け入れ、変えていくことができる。それを教えてくれた経験は、結果的に胸だけではなく身体全体にも良い作用をもたらしている。「嫌い」があったからこそ、もっと「好き」になれると知ることができた。私は今、変わっていく自分に幸せを感じている。
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