7年付き合った彼氏に振られた。ちゃんとこんなに付き合った人は初めてだった。別れを切り出される直前まで本当に大好きだった。

「他に好きな人ができた、君は家族としか見れない」

ああもう、この人は私が傷つくかもしれないことより、今好きな人にしか考えがない。そう思うと頭の奥がぼんやりと冷めていったのを覚えている。

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それから私は、恋愛にトラウマを持つというほどのこともなく。けれども恋愛をする気にもなれず。推し活や友達と遊ぶことに勤しみながら日々を送った。

そんな時である、顔がどタイプなすっごいいかっこいい方が目の前に現れた。見ず知らずではあったが、その時の私には、7年付き合ってきた人と別れたことから起こる解放感、そして何故かわからないがいけるやろ!?という自信に背中を押され話しかけたのである。いわゆる、逆ナン。

これが案外と上手く行ったのもので、相手も満更でも無い様子、他愛もないメッセージのやり取りや通話を重ねた。

そしてなんとかデートまで漕ぎ着けたのである。私は達成感と多幸感で浮き足だっていた。相手も満更じゃない、もしかしたら付き合えるかも…!なんて。恋する乙女になっていた。恋する乙女モードなんて久々であるし、そんな浮き足だった己の操作方法もわからんままデートへ赴いた。

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デート自体はものすごく楽しかった。相手もスマートで、キャッチから守ってくれたり、ご飯代を私がお手洗いに行っている間に済ませていたり。すごく紳士で魅力的だ。
私は言った。

「付き合ってくれませんか?」

答え。

「人としては好きだけどまだ付き合うとかではないかなぁ」

南無三。大爆死。

と、その時は思ったが可能性は消えていない!
デートの翌日に昨日急に告白してしまって困らせた旨を謝りたい、通話がしたい、とメッセージを送る。つかない既読、来ない返信。一週間ほど待って返信がきた。

「連絡遅くなってすみません仕事がバタバタで…」

おや。私は察し始めて焦る。

「お仕事忙しそうですが、元気ですか?」

1日目、2日目、3日目、一週間……結局今まで既読はついてない。
どこでミスをしたというのだ!

私は日記に思いの丈を書き殴る。もう諦める、こんなに私に連絡くれないなら大事にしてくれないのと一緒である、と。しかしそんな決意を固める傍らで返信が以前であれば来ていたであろう時間にsnsを確認する癖をやめられない。諦めて縋って諦めて。

いっそ一番楽なのは寝る時である。その時間は思考をしなくていい、来るのか来ないのかわからない返信に気を揉まなくて済む。睡眠とは偉大である。

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つらい恋の先にあったもの、それは睡眠…というと自堕落に聞こえるかもしれないが、動物たちが冬眠をするように、気づいた時にはもう何も考えずただただ日々をこなして、過ごしていくことが結局大事なんじゃないかと思ったのだ。

恋の先には何もないかもしれない、そもそもこの世で生きている私たちの先には何もないかもしれない、待つのは緩やかな終わり。でも私たちは日々生きている。なら辛いのも楽しいのも含めて味合わなきゃもったいないよな、と最近は開き直れるようになってきた。

これを書いている現在も既読がついていないので絶賛辛くはあるのだが、でもこの辛さも含めて恋であり、人生だよな。全て味わい尽くそう。