再会でよみがえった淡い気持ち。恋じゃなくても大切にしたい関係

以前、いくつかのエッセイで、小学生の頃好きだった相手と再開して、時々電話をしたり、遊んだりするようになったと話した。
今回は、その彼についての話だ。
彼と再会して、あの頃とほとんど変わらない姿に心が躍った。というより、変わらないどころか、少し大人びたその雰囲気に、軽くドキッとしてしまった。懐かしさと、昔の気持ちの延長線のような感情とで、私はすっかり浮かれていた。まるで、タイムカプセルを開けた瞬間に、あの頃の空気ごと蘇ってきたようだった。
大好きな小学校の同級生だ!しかも昔気になっていた人がいる!あの頃と全然変わってない!でも、ちょっと格好良くなってるかも!
単純に舞い上がっていた。それが楽しかった。何人かで一緒に遊んだり、人生初のほぼ寝落ち電話をしたりもした。
でも、たくさん話して、今の彼を知るほどに、2つの複雑な気持ちが混ざり合っていった。
ひとつ目は、彼が思った以上に「遊んでいる」ということへの、少しの戸惑いだった。もちろん、遊ぶことが悪いとは思っていないし、彼の話す夜の街の出来事も、私には知らない世界として興味深く聞いていた。
でも、時々、それがほんの少しだけ「危なっかしいな」と感じることがあった。インターンの話や社会問題への関心、将来の展望など、小学校の同級生の中では真面目な話ができる貴重な存在であることに変わりはない。けれど、それと同時に、彼の中にある“自分とは異なる選択を重ねてきた人生”の輪郭が、会話の端々から見えてくるようになった。
懐かしさや安心感に包まれていた最初の頃とは違い、だんだんと、今の彼と昔の彼がはっきりと分かれて見えるようになった。そしてそれは、同じ時を過ごしていたはずなのに、いつの間にか離れていたことを実感させる出来事でもあった。悪いことじゃない。でも、少し寂しかった。
二つ目は、彼が私を女の子扱いはするけれど、異性としては見ていないことに対する、不思議な安心感だった。私の周りは今まで、女の子扱いニアリーイコール異性として見るという人が多かったように思う。
そのせいか、私自身もその二つが表裏一体のように考えてしまっていた。でも、彼はそこはきっちり切り離す人だった。例えば、重いものはすぐ持つと言ってくれるし、ご飯を食べに行けば端数は出してくれる一方で、私が何かミスをしたりトンチンカンなことを言ったりすると、おいと笑って背中を叩いてくるような人だ。私にはその距離感がちょうどよかった。
最初の頃は、昔の気持ちをなぞるように、「もしかしたら」という期待もどこかにあったと思う。恋愛事情が少しごたついていた時期でもあったし、「このまま落ち着ける場所が見つかったら」と思っていた部分もあった。でも、少し経って気持ちが落ち着いたとき、私ははっきりと気づいた。
やっぱり、彼は今も昔も、私にとって「良い友達」なんだと。
気になっていた人が、今も変わらず大切な存在でいてくれること。その関係が、恋愛ではなくても、互いに信頼し合えるものとして続いていること。
むしろ、恋愛ではないからこそ続いていることが私にはとても尊いことのように思えた。昔のほの甘い気持ちは叶わなかったけれど、案外、私は今、この関係に幸せを感じている。
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