「ワンランク上の大学に行きたかった」克服できたのは夫との出会いと挙式

昨年度、私のコンプレックスは私にとって世界一幸せなアドバンテージになりました。
私のコンプレックスであり、その後アドバンテージにできたのは最終学歴。
いわゆる「学歴コンプ」というやつです。
私は私立文系、キリスト教学科とチャペルがあるような四年制大学を出ています。
9路線が乗り入れる最寄り駅からも近く、駅からの道は学生たちで混んでなかなか前に進めないものの結婚式場を横切るので展示されているドレスや参列者を見て、ハッピーエンドな映画好きの私もいつか誰かと結婚できるかな、など考えながら登校していました。
食堂メニューもおいしくて、周りには安いランチからカフェからコンビニ、当時流行っていたタピオカまですべてが揃う、本当に居心地の良い大学でした。
その中での私の専攻は英米文学。
特にアメリカ文学といえばこの大学!と呼ばれるような教授陣がそろう大学でした。
その大学のシンボルと言われ、ホームページでもパンフレットでもメインページに使われ、その大学名を聞くとほとんどの人が思い浮かべる建物で多くの授業を受けるという、何とも贅沢なスクールライフを送りました。
もちろん、外観だけではなくて内観も完璧。
まるで海外にいるような壁、ドア、椅子、机、床でフォトジェニックでした。
ですが、私はワンランク上の大学に行きたかったのです。
結構頑張って勉強したけど、手が届かず泣く泣くこの大学に行きました。
完璧主義で自分に対して負けず嫌いの私にはかなり悔しい結果になり、新卒の内定先が決まっても、大学卒業後になっても学歴コンプレックスを抱えながら生活するくらいでした。
入学時は、落ちてしまったから何か有意義なことを成し遂げねば、何かせねば、という焦った気持ちで新生活をスタートさせました。
入学式でも、オリエンテーションでも、うまく笑えない。
友達ができるワクワクはあるけれど、私はこんなところにいたくない、という気持ちで胸が張り裂けそうでした。本当に、裂けかけている音が聞こえるくらいでした。
新歓の勧誘でも明るく声をかけてくれる先輩より、静かで、真面目そうでなんだか陰のある先輩に声をかけられたところと体育会に興味を持ちました。
当時視野がものすごく狭かった私は、陰のある先輩=私みたいに大学に落ちた人、と考えていたから。
体育会なら真面目そうでなんか良さそう、と思ったから。
そして、無理して体育会に入ってみたり、意識高いことをやってみたり、やりたくもないけど良さそうなことをやってみたりしながら大学生活を過ごしました。
合わなくて、ストレスで心身ともに削られ、ついには摂食障害を発症して、3年生にはついに大学に行けなくなってしまうほどでした。
正直楽しい大学生活は送れませんでした。すべては学歴コンプレックスから来ていました。
さて、前置きはここまでにします。
私の学歴がアドバンテージになった話に移ります。
時は卒業から3年後。私は授業で知り合った同じ学科の方と無事結婚しました。
最近のイギリスやアメリカ映画のセリフを借りるとするならば、He is so cute and perfect.です。
そんな男性と知り合えた時点で、私はあの大学に行けてよかったと思っていたわけですが。
結婚式どうする?という話になったとき、「私たちの母校の教会でやるのはどう?」というアイデアが出てきたのです。
私たちのようにキリスト教に触れてこなかった人もオープンに受け入れてくれる宗派ということで、私はすぐに年2回しかないオリエンテーションに申し込み、抽選で無事翌年の10月の挙式を決めることが出来ました。
そして披露宴会場も、学生時代に通っていたあのドレスが展示されている会場に奇跡的にキャンセルが出て、縁もゆかりもある形で開催できました。
当たり前ではありますが、本物の牧師さん、本物の聖歌隊の皆さん、本物のパイプオルガン、本物の結婚証明書、式の中で行うすべてが本物のキリスト教会式でした。
どうせ結婚式をするならしっかりと重く、本物で神聖なものにしたいと思ってきた私、まさに文字通り神聖な結婚式を挙げることができました。
コンプレックスだと思っていたはずの大学がアドバンテージになり、こんなにも理想的で、こんなにも幸せな挙式をできる選択肢になったなんて。
美しいステンドグラスに囲まれて、牧師さんの話と聖歌隊の歌声とパイプオルガンの音色で初めて、心からこの大学を選んでよかったと思いました。
もし私がここで挙式していなかったらきっと、私はまだ学歴コンプレックスを抱えたまま人生を送ることになっていたかもしれません。
そこで、私は気が付きました。コンプレックスだ、コンプレックスだ、と思い込んでいても、その出来事や選択を正解にできることもあるのではないでしょうか。
コンプレックスって、無意識に常日頃と何か大きな出来事があった時に意識してしまう対象だからこそ、ちょっとした気づきとも繋げやすく、私の結婚式のように気がついたらアドバンテージにできる可能性は高いような気がしているのです。
学歴コンプレックスを「無視する」あるいは「認めて受け入れる」ではなくて、「アクションを起こして中和させる」という新たな選択肢にも気づけました。
だから、コンプレックスを意識し続けても良いと思うのです。
他の何かと中和させられることもできるかもしれません。
卒業から3年、延べ7年コンプレックスに思っていたことが、夫との出会いと挙式というたった2つの出来事で、私の人生の中で最も幸せなことランキングのトップと2位にランクインするくらいのアドバンテージになりました。
狂ったように勉強したけれど、ワンランク上の大学に落ちたこと。
しかも私、この大学の受ける学部も間違えていました。
これってもしかしたらどこかの誰かが導いてくれたのかも。
頑張って勉強して、大学でも壊れながら頑張ってきた私へのプレゼントだったのかも。
今の私は本気でそう思っています。
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