「コンプレックスはオープンにするもの」私は髪の毛を抜くのを隠すことをやめた

「のぞみちゃんって、いつも髪の毛抜いてるよね。恥ずかしいと思わないの?」
高校1年生の時、同級生から言われたひと言。
髪の毛を抜くのは、恥ずかしいこと?当時の私は、その言葉に本気で悩んだ。
悩んでいる私に、男性の担任の先生がこう言った。
「ええのう、お前は抜く毛があって……」
55歳の担任の先生は薄毛に悩んでいた。そういう見方もあるのか、と私は驚いた。
思わずクスリと笑ってしまった。胸に抱えていた不安が、少し軽くなるのを感じた。
母は、わたしにこう言った。
「コンプレックスは、隠すものじゃなくて、オープンにするものよ。共感してくれる人が、必ずいるはずだから」
その言葉を聞いて、私は髪の毛を抜くのを隠すことをやめた。
自分の体験を、こうして文章にして綴っている。母の言う通り「私も同じ所以上で悩んでいる。励みになった」と共感してくれる人がいた。それが嬉しくて、もっと多くの人に自分の文章を読んでもらいたいと思うようになった。
私には、足の爪を嚙む癖がある。やってはいけないことをしているという罪悪感に駆られた。それがストレスで、ますます足の爪を嚙む……という悪循環に陥っていた。その姿を見ていた母が、私に「股関節が柔らかいんだね。羨ましい」と言った。またもや、クスリと笑ってしまった。確かにそういう見方もできるなあと納得してしまった。股関節が柔らかいことを何かに活かせないかと考え、ヨガを始めた。「身体柔らか~い!」と周りから褒められて、嬉しい気持ちになった。足の爪を嚙むのも、悪いことばかりではないなあと思った。次第にストレスが軽減されたことで、足の爪は嚙まなくなっていった。
もう一つ、私にはコンプレックスがあった。それは自分の見た目だ。
アイドルみたいに可愛い妹とは対照的に、私は人から「ブサイク」と言われるほど見た目が悪かった。「妹のほうが可愛いね」ひとからそう言われるたび、どうして私はブサイクなのかと落ち込む日々。そんな私に、友人はこう言った。「メイクしたら、垢抜けるかもよ」その言葉を聞いて、メイクを始めた。
ファンデーションを塗って、アイシャドウをまぶたに乗せ、マスカラをつけて……鏡を覗いて驚いた。メイクをするだけで、こんなに変わるものかと。
努力することの大切さを学んだ。見た目が良くなったことで自分に自信がつき、
明るく前向きな気持ちで過ごせるようになった。友人のアドバイスに、心から感謝した。
担任の先生や母や、友人……身近な誰かのひと言が、私の人生を大きく変えてゆく。言葉には、それだけ力があるのだと知った。私のひと言も、誰かの人生を大きく変えていく。言葉には気を付けようと心から思った。
いま、私自身を大きくつき動かしている原動力は、「コンプレックス」だ。
コンプレックスがなければ、笑うことも成長することも無かったに違いない。
ひとと違うから、劣っているから……と悪いほうに捉えるのではなく、「成長できるチャンスだ」とプラスに捉えて、楽しい日々を送りたい。そして、自分のコンプレックスを大勢の人に伝えてゆきたい。きっとまた、共感してくれる人に出会うことだろう。クスリと笑えるひと言にも、出会えるはずだ。
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