「女性のモヤモヤを書いて、社会に反映したい」私がライターになった理由

今年の12月から娘を保育園に入れるまでの間、フリーランスライターとして活動することにした。
自分で仕事を選ぶのは初めてだし、会社員とは違って収入など不安定な要素も多い。
それでもライターの道を選んだのは、「女性のモヤモヤを書いて、社会に反映したい」からだ。
きっかけはまさに、「かがみよかがみ」だ。
2023年6月、私は休職していた。職場での大きなストレスにより、適応障害と診断された。
少しでも暇ができるとすぐに不安になり、夜もなかなか寝つけないことがよくあった。
漠然とした不安から逃れたい、そんなときに「かがみよかがみ」を知った。「対象:18〜29歳の女性」とのことで、当時29歳だった私にも書く権利が与えられた。
しかし当時はエッセイというジャンルも知らなかったし、文章といえばメール文くらいしか書いたことがなかった。未経験での挑戦に不安を感じながらも、実体験を執筆した。
採用の連絡が来た時は嬉しさよりも、「え!?あんな文章で良かったの!?」という驚きの方が勝った。しかし誰にも注目されない人でも書くことはできる、という自信が芽生えエッセイ執筆の沼にハマっていった。
毎週変わるテーマに対して、自分の頭の中をガンガンとWordドキュメントに打ち込んでいった。エッセイのテーマが発表されてから2時間後には提出したこともあったし、徹夜で書き上げたこともあった。
匿名で、怒りや悲しみなどを思うがままに書くことが快感だった。書き終えると自然に不安が薄れて、よく眠れるようになった。
時には過激な内容で炎上してしまうことを恐れた。しかし書かないと、また不安やモヤモヤが増え続ける。私は誰かの目より自分の気持ちを最優先し、そのまま編集部に提出した。
ある時から文章力を磨きたいと思い、他のかがみすとのエッセイも読み漁った。最初は向上が目的だったが、次第にその人の世界に入っていった。
「もしかして、あなたも同じ悩みを?」
キャリアや人との関係、恋愛、友人のことなど、読み進めていくうちにその人も私と同じ気持ちだったことに気付いた。その人も私と同じように、モヤモヤを名もなき声として、誰かに伝えようとしていた。この環境で書く人達は、みんなモヤモヤで繋がっていることに気付かされた瞬間だった。
30歳の誕生月に、「かがみよかがみ」を卒業した。
すべて書きつくしたはずなのに、私の心はまだモヤモヤしていた。
「みんな」が抱えているモヤモヤの一部を、まだ書き残していると感じたのだ。そして数年後、かがみよかがみで年齢制限なしのテーマが発表されたことを知り、再びエッセイを執筆した。
しかし、書くトーンは今までとは違うものにした。以前は気持ちを書いて終わりだったが、久々に書いた作品は前向きな言葉で終わっていた。
同じモヤモヤを持つ人に寄り添い「私もこれだから大丈夫だよ!」という願いを込めて。
私もそうだが、自分のモヤモヤを吐き出したいのに、「間違っているのかも」とか「情けないから」と抵抗を感じてしまう人もいるかもしれない。
しかしそのモヤモヤを表現することで、世界が少し変わることだってある。私が「かがみよかがみ」から教えてもらったことだ。
私はまだ微力だが書くことでそのモヤモヤを社会に伝えたい、と強く思いライターの道を選んだ。
世の中には権力者がわんさかいる。もしかしたら、強者たちに圧し潰されてしまうかもしれない。
そのような状況になったら、「私は変わらない、社会を変える」という言葉を思い出そうと思う。
表現することで、少しでも誰かの気持ちを社会に反映させたい。
それが叶うまで書き続けていきたい。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。