かがみすとに会うために、私は飛行機に乗った。そして親友になった
2026年3月末に私の大好きなかがみよかがみがサイトクローズしてしまう。
本当に寂しい。無理なことは分かっているけど、終わりなんて来てほしくないと心から思う。
かがみよかがみに出合えたことで、私は書くこと・言葉の力に救われ、多くの宝物ができた。編集部の方からのフィードバック、かがみすとさんたちが思いを綴った多くのエッセイに力をもらった。そして、この4年半の間でたくさんのかがみすとさん達と関わりを持つことができた。その中で出来た私の大切な友達との出会いを振り返ってみることにする。
彼女のエッセイを初めて読んだのは約4年半前に遡る。
私がエッセイを投稿し始めた頃にちょうど彼女の1本目のエッセイが掲載されていて、タイトルに惹かれてページをタップしたのだった。
そのエッセイは私がずっと縛られ続けていた「ふつう」の世界をあえて選択せず、自分の心身の健康を優先して職業を選択した先に見えた世界を大切にしている様子が伝わり、とてもキラキラしていた。
私はこれまで世間体や周囲の顔色を窺いながら人生の選択を続けてきたから、世間体や周囲の評価を気にせず、自分の心を大切にする彼女のエッセイは眩しくて、「私もこんな風に生きたい」とエッセイを読んで強く感じた。
ほぼ同時期にかがみすとになった私達だけど、エッセイを投稿するスピードは彼女のほうが何倍も早く「多忙な生活の中でこんなにコンスタントにエッセイを書き続けられるなんて何者なんだ…」と、自分の思いをうまく言葉にできず、もがいている時期は彼女のまっすぐな言葉で綴られたエッセイたちにほんの少し、ジェラシーを感じることもあった。
当時の私が30歳になるまでエッセイを書き続けられたのは彼女のエッセイに鼓舞され、刺激を受けたからだった。
当時私達はSNSで繋がり、お互いにいいねやエッセイの感想を投稿したりするようになっていた。その中で同級生だということや誕生日が2日違いということも分かり、ますます親近感が湧いたことを今でも覚えている。
かがみすとの卒業時期が同じだったから、お互いのこれまでを労い合って1回のスクロールじゃ読み切れないくらいたくさんメッセージのやり取りをした。返信する時に何回もスクロールしないとその話題に辿り着けなくて大変だったけど、そのやり取りが何よりも楽しかった。
LINEに移行しても何回もスクロールするやり取りは変わらず、社会に感じているモヤモヤや自分の抱えている問題を相談や共有できたことで、いつも胸が軽くなった。電話で何時間もエッセイの感想を話したり近況報告したりしていると、遠くに住んでいるはずなのに不思議と、一番頼れる身近な存在で何でも話せる間柄になった。
そして先日、私は飛行機に乗って初めて彼女に会いに行った。
お互いに抱えている悩みや社会に対する疑問は知っているのに、まだ直接会ったことのない私達が待ち合わせをするなんて不思議だなと、待ち合わせをしながら思わず笑いそうになった。
そんな私達は一緒にモネ展に行ってきた。
初対面のせいか最初こそ緊張したものの、これまでの積み重ねがあったからすぐに打ち解けて話が止まらず、待ち合わせ場所から会場の美術館までの約80分はあっという間に過ぎた。一緒にモネの睡蓮画を見ながらたくさん色んなことを話した。
キラキラ眩しいエッセイを書いていた彼女が、ずっと私に励ましの言葉をくれていた彼女が目の前にいて、一緒にモネの美しい絵画を見て感想を言い合っているなんて。
感動や嬉しさで胸がいっぱいだった。たくさん話をしたのに全然話したりなくて、あっという間に別れの時間となってしまった。
別れ際に彼女から手紙とノート、手作りの小物をもらった。
飛行機に搭乗後、手紙を読んだ。
もらったノートには「あなたの言葉は誰かを救う力がある」と、メッセージとかわいいネコのイラストが添えられていて、手紙にも端々に温かい言葉がちりばめられていた。じわりと胸が熱くなり、涙がこぼれた。
かがみよかがみを卒業してからこれまで、体調を崩し会社をやむを得ず退職した時にはたくさん話を聞いてもらい、励ましてもらった。彼女の温かい言葉のおかげで立ち直ることができて、今はかつてのように日常を送ることができている。
彼女が苦しい時や思い悩んでいる時には、これまでたくさん励ましてもらった分、彼女の気持ちに寄り添えるような自分でありたいと思う。
ずっと世間体や周囲の顔色ばかり窺う私には自分の悩みや社会に対する理不尽さを対等に話せる友人はいなかったと思う。そんな中で、きちんと自分の気持ちを言葉にしながら対等に話ができる大切な友達に巡り合うことができた。
かがみよかがみでエッセイを書き続けていて本当に良かった。
この場所があったから、私は大切な友人を見つけることができた。
きっと私のようにエッセイの言葉たちに救われたかがみすと達は大勢いると思う。
言葉にはとても強い力があると信じているし、これからもその力を信じて自分の思いを言葉にしていきたい。
これからもかがみよかがみが繋いでくれた大切なご縁と、友達でいてくれる彼女の存在に感謝しながらお互いに切磋琢磨し合える関係でいられたらいいなと思う。

かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。