今年32歳になる私はかがみすとを卒業してもうすぐ2年が経つ。
以前は別名義で掲載していただいていたのだけど様々な事情があり、名前を変えて最近またこのサイトに投稿しはじめた。

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かがみすとを卒業してからは自分がエッセイとして言葉を綴ることは無くとも、毎日更新される誰かのエッセイを読むことが私の楽しみだった。このサイトには本当に様々な環境で自己研鑽に努めていたり、自分自身の親子関係を見つめ直していたり、必死にもがいていたり、理不尽な経験をしたり、幸せのお裾分けをしてくれたり、たくさんの女性たちがいる。

このサイトを卒業した後、私は職場の上司からのセクハラとパワハラに自分自身の心と体が壊れて休職していたことがあった。入社してからずっと我慢したり、発言して上司に立ち向かったりしていたけど、限界がきてしまったのかもしれない。医師からは適応障害と診断された。

毎日病院から処方された薬を服用しながら、昼前に起きて明け方に眠る生活を送っていた。自分の意志で動かせるはずの身体が重たくて動かない。食欲がない。だけど、それでもお腹は鳴るみたいで、生きるためにとりあえず食べられそうなものを口に入れる。毎日ひたすらに頭が痛い。夜も布団に入るけど、なぜか目が冴えて眠れない。だから朝も起きられない。いつの間にか好きだった食べ物やたくさんあった自分の趣味にすら興味が持てなくなって、毎日開いていたかがみよかがみのサイトも開けなくなってしまった。その頃の私は毎日を生きるというか、消化するように日々を送っていたと思う。

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そんな毎日に絶望するような気持ちだったけど、数ヶ月で病院から処方された薬がじわじわと効き始め、携帯を時々見られるようになるまで少しずつ回復した。

そんな時にLINEの通知音が鳴った。開くとかがみよかがみのお知らせの内容だった。

ベッドに横になりながら数ヶ月ぶりに開くサイト。トップページに表示されたエッセイを何も考えずにタップしてみる。スクロールしながら読むと、私と同じように休職していた女性のエッセイだった。「これは今の私だ」と、読みながら感じた。そのエッセイは仕事を休職した理由や休職を経て感じたことが前向きな言葉で綴られていた。読みながら涙が出た。

休職理由が自分自身と似ていたこともあり、この先の自分の未来を、先に乗り越えた彼女のエッセイが教えてくれているような気がした。適応障害になってから、以前のようにきちんと生活を送れない自分のことが情けなくて、苦しくて仕方がなかった。だけど、そのエッセイを読んで「休職を選択した自分は間違ってないよ」と励まされたような気がして、ずっと自分自身を責め続けていた真っ黒い気持ちが少しずつ小さくなっていくような気がした。

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それから私は休職していた会社をそのまま退職することを決めた。
現在は薬の力や新しい家族の力を借りて体調を整えられたおかげで以前の生活をほとんど取り戻すことが出来るようになった。服用する薬の量も随分減ったし、好きな食べ物も美味しく食べられるようになったし、外出もできるようになった。

女性の方が男性よりも共感する傾向が強いとよく聞くけど、自分自身もそうだなと感じる。かがみよかがみの中である大学生のかがみすとさんのエッセイを読んだ時も、年齢は10歳以上離れているはずだけど「このエッセイ、大学生だった頃の私だ」と感じることがあった。また、私が過去にできなかった行動を画面の向こう側の彼女たちが起こしていたエッセイを読むと、「私も負けてられないな」と刺激を受けた。私はまだ結婚も出産も経験がないけど、出産の経験や子どもと過ごす日々が綴られたエッセイや仕事にやりがいを見出している彼女たちの言葉にいつかの自分自身の未来も重ねて、「明るい未来を迎えられる自分でありたい」と明るく前向きな気持ちになれた。

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自分の苦しみや悩み、喜びや発見を発信してそれを共感してくれる仲間がいるってものすごく心強いことだなと感じる。

私は何度もこのサイトのたくさんのエッセイに救われて、鼓舞されて、前へと進んできた。自分の気持ちを分かってもらいたい、お互いの気持ちを共感したいと思える私達だからこそ、これからもエッセイは投稿され続けると思う。

自分自身が女性というだけで、セクハラを受けたり、理不尽な扱いをたくさん受けたりしてきた。その度、自分が女性であることを恨んだこともあったけど、同じような苦しみを抱えて、それを乗り越えた仲間がこのサイトの中にはたくさんいた。その事実が私にとってはとても心強かった。苦しい経験を綴った私の言葉が、私が画面の向こう側の彼女のエッセイに救われたように、誰かの心に届いて救いや励ましの何かでありたい。だから、これまでも自分の経験を書いてよかったなと思うし、これからも自分の言葉で表現できたらいいなと思う。

やっぱり、共感し合える私達は強い。