食べることが昔から大好きだった。
今はそれが恨めしい。

2年前から過食嘔吐が始まり、本格的に摂食障害の症状が出るようになった。

一度食べ始めると理性を失ってしまう。
ダメだと分かっていても、やめられない。
自分をコントロールできない怖さ。
意識の中の無意識のような、無意識の中の意識のような、不思議な感覚。

「まあ、いっか。」
食べていると何も考えなくて良くて、一時的に幸せが口内に広がる。
右手で持ったスマホでどうでもいいネットサーフィンをしながら、左手で食べ物を口に運び続ける。

「何で食べちゃったの。食べないって決めたじゃん。」
食べ終わると猛烈な後悔。

「一度食べちゃったらもう同じだよね。」
そんなイライラ・不安を忘れるためにまた食べる。

「やばい。こんな食べたら太っちゃうから、吐かなきゃ。」
「吐くためにもっと食べなきゃ。」
胃がパンパンになったら、トイレに行って、吐く。
満足するまで吐いたら、キッチンに戻って繰り返す。

家族にばれないように、食べてしまったものを買い出しにいかないといけない

加えて、家族と住む私は、家族にばれないように、食べてしまったものを買い出しにいかないといけない。
買い物から急いで帰宅し、買ってきた食料を所定の位置に戻し、洗いものをして、食べこぼしのある床に掃除機をかけて、トイレを掃除して、ゴミを隠す。
ここまでで現状復帰完了。

家族が帰ってくる頃には大体疲れ果てて寝ている。
ひどい時は1日3回以上を、ほぼ毎日繰り返す。
これを2年間続けてきた。
このために費やした時間たち、本当にもったいないと思う。
同じ時間を、同年代の友達は未来のために使ってきたはずだ。
なのに、なぜ私は自分を苦しめるために使うのか。
そして、それをやめられないのか。

やめたいのに、やめられなくて。

過食嘔吐の繰り返しで、パンパンに浮腫んだ顔と膨らんだお腹。
あふれる胃酸で、ヒリヒリと痺れる喉。
嘔吐後のトイレが壊れないか不安になったり。
食べてしまったものが近所のスーパーに売っているか心配したり。
家族にバレないようにゴミの捨て方を考えたり。

やめたいのに、やめられなくて。
どんなに食べても、幸せになれない。

家族にも、仲の良い友達にも、言えない。言いたくない。
だって、言ってもわからないと思う。
私にもよくわからないから。

同じ苦しみを抱える仲間がいることに安心したり

初めは異物だった「食べて吐く」行為はバイトのシフトや趣味のような感覚になり、いつしか私の生活に溶け込んでしまった。
でも、絶対に治したいと思ってるし、毎日前に進もうとしている。
ネットで同じ症状に悩む人の発信を見て、同じ苦しみを抱える仲間がいることに安心したり。
私と同じ悩みを克服した人を見つけて、私もきっとこうなれると少し希望を持ったり。
自分の周りには言えないからこそ、絶望し消えたいと思った時には匿名性のあるネット環境に救われた。

このエッセイが、苦しんでいる人の何か役に立ちますように

私はまだ道の途中だけれど、いつかまた美味しくご飯を食べられる瞬間を目指して、これからも食べることと向き合わないといけない。
このエッセイを読み、同じ症状で苦しんでいる人が「1人じゃないんだ。」と思えますように。
このエッセイが、私の母のように、摂食障害やそれに悩む子供のことを理解したくてもできず苦しんでいる人の何か役に立ちますように。