彼氏、友達、美容師さん。私の髪型決定権はいつも他人が持っていた
15歳から23歳まで、自分の意思で髪型を決めたことがなかった。
高校生の時に付き合っていた彼氏に「絶対ボブが似合う!」と言われたら、ボブヘアを死守。親友に「ボブよりショートカットのほうが可愛いよ!」と言われれば、バッサリ切る。初対面の美容師さんに「絶対ロングは似合わないよ。ボブが一番いい」と無根拠で言われても、胸まで伸ばしていた髪を躊躇なく切る。前髪を伸ばすか切るか迷ったときは、インスタのストーリーで「前髪アリ・ナシどっちが似合うと思いますか?」と誰得なアンケートを取り、多数決に従う。
これまでの人生において、髪を伸ばしたい・切りたいと思う瞬間はもちろんあったが、結局なにが自分に似合うか分からないから、周りの意見に従うことを選んできた。自分が「したい」髪型をするよりも、周りの目から見て「似合う」髪型でいることが、私の幸せだと信じていたから。
そしてそんな信条は、あるアイドルとの出会いをきっかけに、一変することになる。
MAMAMOOヲタク爆誕。尊ぶ日々が新しい気持ちを沸き上がらせた
今流行りのNiziUにハマった私はYouTubeで毎日動画を見漁っていた。
そんなときにYouTubeのレコメンド機能で別の韓国アイドルの動画がオススメされた。2014年にデビューした4人組女性アイドル「MAMAMOO」だ。
彼女たちは俗に言うガールクラッシュ、女性が憧れる女性像を体系化したアイドルである。周りの意見に縛られず自分らしく生きる大切さをテーマにした歌が多い。そんな彼女たちの歌声、メッセージ性、生き方に一瞬で惚れた。ヲタク、ここに爆誕。
そして推しを尊ぶ日々の中で、ふとこんな思いが沸き上がってきた。
「推しが今日も可愛いわ…。髪型も最高。あれ、私も推しみたいにロングヘア-にしたいな…、前髪も伸ばしてみたいな…」
MAMAMOOに出会う前の私ならば、髪を伸ばしたいと思った瞬間に親友に「ロング似合うと思う?」と聞く。でも今回は、誰の意見も聞かなかった、聞こうと思わなかった。
私がしたいから、する。私が髪を伸ばしたいから、伸ばす。
「似合うね」と言われる髪型よりも、私が楽しいと思える髪型が幸せ
他の人にとっては「したい髪型にする」ことは当たり前かもしれないけど、私は初めて、自分の意思で髪型を決めることができた。
1か月に1回自撮りをして、髪が長くなったことを確認する。
鏡の前で、着々と伸びていく髪の毛をブラシでとかす。
伸びてきた後ろ髪と前髪をアレンジするために、インスタで髪の巻き方を勉強する。
今の髪型は、もしかしたら私に似合っていないかもしれない。でも、誰のためでもなく、誰の意見にも従わず、自分のためだけに髪を伸ばすことが楽しくて仕方ない。
他人から「その髪型似合うね」といわれる髪型よりも、私が楽しいと思える髪型でいることが、今の私にとってはとても幸せだ。
推しに出会い「世間の目を気にせず自分らしい自分を愛する」という生き方を目指すようになった私の第一歩は、他人が判断する似合う・似合わないに振り回されず、自分がしたい髪型でいることだったのだと思う。
自分の意思で髪を伸ばしている私は、昔よりも、自分を愛せている気がする。