テーブルの上でいびつな形をつくるタロットカードをひっくり返した占い師は「うーん」と唸ってから苦笑いを浮かべた。

「運気がだいぶ下がってますね…来年はうまくいかないことが続きそうです」

つい笑ったあと、泣きそうにもなった。来年も低迷し続けるなんて

だいぶ直球なその発言にショックを受ける反面、やっぱりか、という思いもあった。

間もなく終わりを迎える2020年は、思い返せばなにかとうまくいかないことが多かった。

年明けまもなくから未知のウイルスが日本でも流行し始め、自粛を余儀なくされた。そのせいで失われた大切な人との楽しい時間について考えるとキリがない。私は基本的に家でじっとしていることが嫌いなうえに家で出来る趣味もないため、友達と会えない期間は一日がやたらと長く感じて気がおかしくなりそうだった。

そして一年近く付き合った元彼とは、自粛期間から雲行きが怪しくなり、ほぼフラれた形で無理やり別れた。だいぶ落ち込んでから、なんとか立ち直ってすぐに出会った気になる相手とも現在進行形でうまくいっていない。

また、周りがインターンに申し込んだりと将来のことについて真剣に考え始めている中、私はといえばどんなことをやりたいかすら定まらないまま何も動き出せていない。大学の勉強についていけず、単位修得すら危うい状況だ。

こんな調子の2020年。運気がだいぶ下がっていると言われて思い当たることしかない。

つい笑ってしまったあと、同時に泣きそうにもなった。今年どころか来年もこのまま低迷し続けるなんて。

猛烈な不安が襲ってきた。でも、「やってする後悔の方がいい」

まず、これからいよいよ本格的に始まる就職活動。友達も親もいないし、誰も助けてくれない。言われるがままなんとなく勉強して、受かった大学に進学した私なんて、社会から容赦なく切り捨てられるだろう。

また私は、一人っ子ということもありやたらと気にかけてくる両親から自立したいという思いで、来春から実家を出て一人暮らしを始めようと思っていた。それもうまくいかないのではないか。猛烈な不安が襲ってきた。

しかし私の表情を見た占い師は顔を上げて笑顔でこう言った。

「でもあなたはこうと決めたら譲らない頑固なところがあるから、たとえ上手くいかなかったとしても何事もチャレンジしてみるべきだと思いますよ」

ふと私の頭に忘れかけていた言葉が浮かんできた。「やらずにする後悔より、やってする後悔の方がいい」

私は少し前まで、やらずにする後悔を何度もしてきた人間だった。周りにどう思われるか、嫌われないかを必要以上に気にして生きてきた。

自分の力で這い上がってきた。もう、自分の力で踏み出すしかない

そんな臆病な自分を変えたくて、大学に入ってからは自分でしたいと思ったことには何でもトライしてきた。そのせいで痛い目にあったことも何度もあるけれど、決まって落ち込むまで落ち込んでから自分の力で這い上がってきた。

もうここまできたら、自分の力で踏み出すしかない。何事もやってみなければ分からない。

それに、今まで私はこの言葉を唱えながら何にでも飛び込んできたんじゃなかったのか。どんなに運勢が悪くても、なにもかも思い通りにならなくても、やってみるしかない。

2021年は、後になってから悔やむことがたくさんある一年になるかもしれない。それでもいい、やってする後悔をたくさんする年にしよう。占いの結果なんて、運命なんて自分の力で変えてやる。2020年の私はそう決意した。