2020年は世界中にコロナという、厚く、重く、暗い雲が立ち込め、世界が一変してしまった。
これまでの常識は非常識に。誰もが様々な場面で不自由を感じた一年だったのではないだろうか。

「このままでは自分が腐ってしまう」そう感じ、転職を決めた

海外旅行が好きで、これまでは少なくとも年に1回は長期休暇をとって旅行していた。
遠くへは行けなくても、日本とは違う空気を吸うだけで私の心と体はリセットされた。

中でも東南アジアが好きだ。飛行機から降りた瞬間の、体にまとわりついてくるような湿度と熱気、そしてあのなんとも言えない東南アジア特有の匂いで、足元から喜びが湧き上がってくるのを感じるのだ。

しかしそんな感覚も、丸1年感じていない。
巣篭もりに明け暮れたこの1年の間に、私は外へ飛び出す気力も体力も、想像力さえも失いかけていた。
「このままでは自分が腐ってしまう」
そう感じ環境を変えようと転職を決めた。

ずっと行きたかった海外にいけるのだ、と期待が膨らんだけれど

昔から一度は挑戦したいと考えていた海外へ行こうと転職先を探し、無事合格。
2ヶ月の研修のため2020年末に福岡から上京した。

2021年1月4日、いよいよ研修が始まった。不安もあったが期待が大きかった。
ずっと行きたかった海外に行けるのだ。やりたいことがきっと見つかる、ここでならできる、自由を取り戻せる、そう思っていた。

しかし現実はそう甘くはなかった。前職との違いに戸惑い、これまでとは違う方針に強い抵抗があった。入職前から十分に下調べを行い、新しい職場の方針は分かっていたはずだったが、自分が考えていた以上に馴染むのが難しいと感じた。

「本当に私はここで働きたかったのだろうか」
「ここで私は自由になれるのか」
「もしうまくいかなかったらどうしよう」
そんな考えが頭を駆け巡り、それまで持っていた期待はあっという間に消えた。
研修のために入居した寮の中でひとり、不安でどうしようもなくなっていた。

私を不自由にしていたのは他の誰でもない。私自身だ

友達に愚痴をこぼしながら、自分のやりたいことについて考えを巡らせているうちにふとあることに気づいた。
新しい環境や職場が、自分を変えてくれると考えていたこと。
与えられた仕事をただうまく、やりこなそうとしていたこと。
与えられた仕事が自分のやりたいことではなかった時、窮屈さを感じていたこと。
周りの目ばかりを気にして、自分がどうしたいかなんて考えていなかったこと。

これまでの私は全て受け身だった。
コロナなんて関係ない。
このままではいつまで経っても、どこへ行っても私は自由にはなれない。
コロナの状況の中でも自分の生き方を見直し、自由を見つけた人は少なくない。
私を不自由にしていたのは他の誰でもない。私自身だ。
そのことにようやく気づいた。

不自由を周りの環境のせいにしていては始まらない。
自分のやりたいことは自分で作り出す。
ほしいものがあれば自分で手に入れて、行きたいところには自分の力でいく。
自分の能力にリミットをかけず、ただがむしゃらにやってみる。
失敗したっていい。きっとそのうち、飲み会での話のネタになっているはず。
周りと比較するのではなく、まずは私自身と向き合う。

2021年、私は私から自由になる。