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\\A HAPPY NEW YEAR!//

一斉にみんなが走り出す。新年のカウントダウン、今の私にはスタートダッシュの合図に聞こえる。今年もまた、生きとし生ける者たち皆平等に365日が与えられた。どう使うかは自分次第。
 それぞれのゴールは異なれど、今年こそは、ってみんな思っている。そうやって歳をとってゆくのかもしれない。

世の中は不公平。私が経験した時空が歪んだ6年間

そう、私は焦っている。私だけ2015年で時が止まっている。今年で28歳になろうとしているのに。そして周りは結婚ラッシュ、私だけが離婚ラッシュなのだ。まるで時空が歪んでいる。どこか私だけ別次元に追いやられたようで、結婚報告を聞くたびに孤独になる。

世の中は不公平だ、なんて台詞はもう何万回耳にしたのだろう。しかし、皮肉にも時間だけは平等に与えられる。その時私は思う、健康が羨ましい。与えられた時間すべてを注ぎ込みたい、気持ちは高ぶるが、足を引っ張るのが不健康。病気を患ってから何もかもがうまくいかない。思うように動けないということは、人生を大きく変えてしまう。

うまくいかない人生。もう一生悩んで泣いた。でもこのままじゃ終われない

大学4年の就活時期にそれは襲ってきた。ずっと夢だったマスコミ関係の職種にエントリーし、書類審査は通過した。が、そのタイミングでの発覚だった。階段を下りることが出来なくなり、二次審査に行くことすら断念した。これまで積み上げてきた20年間が一瞬にして崩れ落ちた。なんのために努力してきたんだろう。病気が足を引っ張り、周りとはずいぶん差がついた。皆平等に同じ時間が与えられても、私だけが、夢のために使える時間を失った。

それからというもの、私は自分が何者なのか、何がしたいのかわからなくなった。思い描いた人生からは随分かけ離れてしまった。せめてもの普通の幸せを思い描いた。夢が叶わなくても、何者にもなれなくても、地道にできる仕事を日々こなし、幸せな家庭を持つことはできるかもしれない。

しかしそれさえも叶わなかった。プロポーズされたとき、誰もが幸せな未来を思い描いて結婚する。それが簡単に崩れるなどあの頃の私は知る由もなかった。
もう一生分悩んで泣いた気がする。それでも私は生かされている限り、強く生きるし、押し潰した夢だって、ずっとずっと私を追いかけてくるのだ。病気と離婚に直面し、それでもがむしゃらに生きていかなければならない現実を、今しっかり直視している。本当は疲れてる。私には何も無い。でもこのままじゃ終われないんだよ。

過去に置いてけぼりの私を呼び戻して、欲張りに生きてみる

新年の抱負?そんなの「好きにやるわ」の一択だ。もう色々失った。一周回って針も振り切れた。なんかさあもう、頭で考えるのもやめた。私はこのどうしようもない私を、私らしく生きていくことにする。人生は一度きり、いつまで元気に生きられるかわからない。ずっとやりたいことを我慢してきた人生だった。色々落ち着いたらやろうと思いながら、いっこうに落ち着く日などこない、それどころか歳を取れば取るほど自由に動けなくなるし、失ってゆくばかりだ。人生最大の苦しみを知って、生かされるということの有り難さに気が付いた。

こんな私の人生でも、たったの一度きりの貴重な一生だから。ずっと夢だった「表現する」ということ。マスコミ関係に勤めることはもうできなくても、文章でもデザインでも表現はできるじゃないか。そしてあの頃のように、世の中から評価されるため、必死に取り繕った私はもういない。無駄な物はぜんぶ削ぎ落として、本音と本音と本音だけの私がいる。

これからはもっと欲張って生きることにする。過去に置いてけぼりの私を呼び戻して、今年こそはちゃんと2021年に追いつく。今を生きる。年の瀬に、心の底から笑う自分を夢見て。