1回死んだ私は、何も怖いものがなくなった。
1回死んだ私は、何でもチャレンジできるようになった。
1回死んだ私は、苦しみでさえ楽しめるようになった。
進路を間違えた私。逃げる手段はなく、ひたすら自分を追い詰めた
なんで死んだかって?
簡単に言えば進路を間違えた。
高校3年の時、勉強もできなくて、怠け者だった私は、とりあえずいい給料もらえたらいいや。単純にそんな理由で、歯科衛生士への進路へと進んだ。
私は、音楽や美術、書道など、学生時代からそれなりにいい成績を収めていたので、芸術分野には自信があった。だから心の中では保育士が向いてるって、ずっと思っていたけど、3姉妹の末っ子として育った私は、保育士である2人の姉と、今後も比べられる人生なんて本当にうんざりだった。
だから、自分の心の声にしたがえなかった。
そしたらまんまと失敗。
入学してすぐに、実習ははじまったが、人の歯になんて全く興味もなくて、ましてや不器用だった私は、人の歯にいろんな歯科器具を使って治療するなんて、考えただけでぞっとした。
興味があることにはとことん頑張れるけど、好き嫌いがはっきりしている私は、実習の毎日が本当に苦痛だった。
厳しい家庭で育った私は、ただただ自分を追い詰めた。
「この選択をした自分がいけなかった。取り返しがつかないことをした」って。
逃げるなんて手段はなくて、ひたすら自分を追い詰めた。
「死にたいな」。鬱になった私は母親に当たり散らして、家庭崩壊しかけた
そしたら入学して半年、見事に鬱になった。
未来が見えず、友達ともうまくいかず、彼氏には依存してしまい、ご飯ものどを通らないくらい、毎日もやもやが続いた。
そして、当時実家だった私は、どうしようもない気持ちを母親にぶつけた。
扇風機を投げたり、食器を投げたり、だいぶ激しかった。
「死にたいな」
「死ねたらな」
そんなことを考えながらも、母親に当たり散らかして、とうとう家庭崩壊しかけた。
一緒に住んでいた姉は、家をでていった。
父親と母親は毎日泣いていた気がする。
本気で怒ってくれる父親と遂に大ゲンカ。「でていけ!」と言われ、車で家をでた。
お母さんは心配して、「どこにいるの?」「でていくならわたしもいっしょにでていくわ」
「お父さんひどいわね」。
ひどいのは私のほうなのに、そんな私を責めずにお母さんはいつも私をかばってくれた。
そんな言葉に甘えて、お母さんが夜道ドライブに連れて行ってくれた。
何を話したかは覚えていないが、こんなに醜いはずの私を見捨てなかったお母さんのやさしさに泣けたのは覚えている。
「自由に生きなさい」。喧嘩した父親からの手紙が私を救ってくれた
翌日、起床すると、自分の部屋の机に封筒が置いてあった。昨日喧嘩した父親からの手紙だった。
3枚にわたった長い手紙。昭和のおやじみたいな父親が手紙をかくなんてびっくりした。
手紙を読むとスーッとすっきりした。
なんでかって?そこに書いてあったのは、私の道しるべだった。
「あなたは、がんばりすぎている。
ある意味完ぺき主義すぎるんだよ。
人間出来なくて当たり前だから、もういいやって投げ出すのも必要なんじゃないかな?
お父さんはいつも2つの自分と付き合っているよ。
ひとつは怠け者の自分、ふたつは頑張る自分。
だけどあなたは、がんばる自分しかもってないみたいだ。
もう頑張り続けなくてもいいよ。
あなたの頑張りはみんなみとめているから。
無理に学校に通う必要もない。
『自由に生きなさい』」
この言葉に救われた。
この日から私は頑張ることをやめた。学校に行かなくてもいいんだ。
やめてもいいんだとおもうと、心がすっきりした。
ある日お母さんに行った。
「学校をやめて私保育士の学校に行きたい」
「いいじゃないの。」
学校に編入して、保育士になった。家族が教えてくれた「愛」をこどもたちに伝えたい
そこから半年。桜の咲く4月に保育士の学校に編入した。
見事に同じ境遇である友達にも出会い、楽しい学校生活が私を待っていた。
得意なピアノに歌の授業、絵の授業、工作の授業。保育士になるために、いやいや受けている生徒もいたが、私にはすごく天国だった。
やっぱり私はこれがしたかったんだ……。
そう確信して、2年がたち、私は保育士になった。
だいぶ遠回りしたけど、この仕事に出会えたのは、救ってくれた家族のおかげ、そして支えてくれた友達のおかげだ。
今では、保育士6年目になる。
一度心が死んでしまったからこそ、今が本当に幸せだ。
家族が教えてくれた本当の「愛」を私は、子供たちに伝えていきたい。
それが永遠の親孝行だ。
保育士になれてよかった。
1回死んだからもう何も怖くないよ
鬱だったあの頃は信じられない。
今は、海外旅行にひとりでいったり、登山に仲間とチャレンジしたり、マラソン大会にでたり、本当に楽しいことで毎日があふれています。
今でも私の中に生きている2人の自分。
頑張る自分と、なまけても大丈夫な自分。
ただ、ただ、ありがとう
もう、何も怖くないよ
さぁ、次、神様はどんな宿題(壁)を私にあたえてくる?
なんでもかかってきて!!