これは私が幼稚園の先生をしていた時の話です。

私は一人っ子で、小さい頃はあまり同世代の子どもと関わることがありませんでした。4歳になってから幼稚園に入園したので、ここが初めて同世代の友だちと関わる場所になりました。

自分を責める日々。園長先生に「あなたはこれからなのよ」と言われて

私が通った幼稚園は田舎にある幼稚園だったのでクラス7人という小さな幼稚園で育ちました。兄弟喧嘩などもしたことがなく、最初は友だちへの接し方が分かりませんでした。

そんな時に、いつも側で優しく見守ってくれて沢山のことを教えてくれた当時の担任の先生が大好きで、いつの頃からか将来絶対幼稚園の先生になりたい!と思うようになり、専門学校で素敵な幼稚園の先生を目指して、勉強を頑張りました。

そして念願叶って、憧れだった幼稚園の先生になりました。最初は担任の先生の元で、副担任として働くことになりました。沢山の期待を持って就職したものの、理想と現実はかけ離れていて...

バリバリの体育会系な職場だったため、上下関係は厳しく。厳しいというレベルじゃありませんでした。今でこそあのご指導があったから今の私があると思えるのですが、当時1年目の私は、あんなになりたくてなった幼稚園の先生なのに、希望も夢もなにもかもなくしてしまいました。

毎日、先輩に会いたくない。今日も怒られる。私がいても何の役にも立たないんだ。なんでこんなに仕事が出来ないんだ。と、自分を自分で責める日々が続きました。

働く気力を失い、小さい頃からずっと夢だった幼稚園の先生を辞めようと思い、園長先生に辞表を出した時、園長先生から「辛かったね。でも今辞めるのはもったいない。あなたはこれからなのよ」と止められました。

仕事にも慣れ、初担任の頃のようなワクワクを忘れていました

今思えば、園長先生が止めてくれなければこんな素敵な話を書けなかったので感謝でいっぱいです。

そんな園長先生の言葉に、あと1年頑張ってみよう、それでも無理だったらもう辞めようと思い、先生を続けることにしました。2年目になり、初めての担任。初めてのクラスを持つことになりました。全てが初めてだったので、沢山クラスの子たちに助けてもらいましたし、子どもと共に成長していく1年でした。

担任をもって、すぐ側で子どもたちの成長を見守ることが出来ること、自分の保育で笑顔に
なってくれることが本当に嬉しくて、あの時辞めずに幼稚園の先生を続けて良かったと感じることが出来ました。

そして、それから2年が経ち、私は職場でも先輩という立場になりました。
沢山の先輩、後輩に恵まれて毎日充実した日々を送っていましたが、タスクも多く、先輩になるにつれて、仕事にも慣れて初担任の頃のようなワクワクした気持ちを忘れていました。

4年目に突入した年に幼稚園を退職することになり、最後の年だからこそ悔いのないように
毎日初心に戻って子どもの気持ちに寄り添って日々の保育をすることを抱負としてスタートした1年。

初担任の時よりもクラスの子たち一人一人にしっかりと目を向けれるようになりました。
その子その子にあった保育を出来るようにもなりました。
クラスには色んな子がいました。
なかなか思いが伝えられない子。
感情が豊かな子。
クラスに馴染めない子。
小さな先生みたいなしっかりさん。
外国の子。
みんなそれぞれに個性が
あって、とても素敵なクラスでした。

色んなことに興味を持ち、沢山の想像力を働かせていた子どもの頃

担任として最後のクラス。
子どもたちとの距離を縮めたくて、積極的に子どもの会話に耳を傾けてみました。すると、
子どもたちから聞こえてくるのは「先生、見てみて! (落ちてくる葉っぱが)踊ってるみたいだよ!」とか、ダンゴムシを見つけて、「ダンゴムシさんも暖かいからお散歩してるね~」とか、出ている木の根っこを見つけて、「これひっぱったら大きなお芋が出てくるんじゃないかな?」とか、雨がやんだあとの園庭で「私、雨ってだーいすき!だって、カタツムリさんとお話出来るから!」とか、友だち同士で遊んでいると「みんなが住めるお家を作って○○組みんなでずっと一緒にいようね~」とか、日常の何気ないことから夢溢れる
素敵なお話を聞かせてくれました。

その時に、自分も子どもの頃は色んなことに興味を持ち、日常のちょっとしたことにも
沢山の想像力を働かせていたことを思い出しました。

そんな子どもたちと共に過ごす中で、私もこんな風に、純粋に日常で起こる小さなことにも目を向けてみようと思い、日々過ごしてみるとこの世界は本当に沢山の幸せが溢れているなぁと感じるようになりました。

毎日太陽を見て、すごく綺麗。この太陽を見れた私は幸せだなとか周りには素敵な仲間がいてくれてありがたいなとか。自分の感情に素直になると、私はとても恵まれているなと嬉しくて涙が出るようにもなりました。

大人になるにつれて夢や希望を忘れて、いつしかもう歳だし今更難しいだろうと思ってしまうことも多いと思います。

しかし、私は子どもの頃に描いた夢を叶えるのに年齢は関係ないと今では思います。

いつまでも子どもの様な想像力やワクワクした気持ちを忘れずにいたら、可能性は無限大だと思えるようになりました。

子どもを育てる側の幼稚園の先生。だけど、私に沢山の学びを与えてくれて、より私を成長させてくれたのは、毎日期待で目を輝かせて純粋な心で素敵な話を聞かせてくれるクラスの子どもたちでした。

幼稚園の先生の経験は一生忘れられないし、私の人生や考え方を変えてくれる素敵な仕事でした。これからもいつもワクワクする気持ちを忘れずに夢を沢山描いて生きていきたいと思います!