結婚、どう思う?
そう聞かれたらわたしは「素晴らしいものだよ」と答える。
わたしは22歳で結婚して、23歳の時に離婚した。
若気の至りでしょ、勢いで結婚するからそんなことになるのよ。
何も知らない人たちから色々と言われたことに対して多少は何とも言えない気持ちになったが、わたし自身、結婚したこと、離婚したこと、これらに関しては全く後悔がない。じゃあ、何に後悔しているのか。それはわたしが相手に放った言葉たちだ。
好きな人には優しくしてあげる。実はとても難しく、何より大切なこと
結婚生活は本当に楽しくて、大笑いした日、好きが止まらない日に溢れていた。一人では出来ないことも二人でなら何だって出来るような気がしたし、実際にたくさん乗り越えられた。そんな日の方がむしろずっと多かった。
それなのにわたしが繰り返し思い出すのは、冷たく放った言葉とか払いのけた彼の手とか、優しく出来ないわたしばかりで、いつもわたしは苦しくなる。
人にものを言えるような立場ではもちろんないけれど、これから結婚する、もしくはしたいと思う相手がいる人に向けて伝えておきたいことは、好きな人には優しくしてあげて、ということ。何を当たり前のことを、と思うかもしれないが、実はとても難しく、何より大切なことなのだ。
女性であろうと男性であろうと、身体の調子や心の状態によって、どうしても相手に優しく出来ない日もあるし、思ってもないことが口から出てきてしまうような日もある。一番大切にしたい相手なのに、どうしてもそれが出来なくて自分から傷つけにいってしまう日もある。たくさんある。でもその時に突き放すだけじゃなくて、どうしていま自分が優しくいられないのか、話す必要がある。
自分たちの結婚を正解に導いていこうと、必死になってしまった
大好きな彼とずっと一緒にいたい、だから結婚した。ただそれだけのことなのに、なぜかわたしを取り巻く環境はどんどん変わっていってしまって、経験したことのない感覚や感情でいっぱいいっぱいになってしまっていた、のだと思う。あの時のわたしはそのことには全然気が付いていなかった。小さい頃から憧れていたお嫁さんになれたことが嬉しくて、何かがおかしい自分の心の声には耳を傾けようともしなかった。
今になってみれば、わたしだけではなく彼もそうだったのかもしれない。責任感を持った行動をとらなくてはならない、いい夫でありたい、幸せにならなくてはいけない。結婚は紙切れ一枚で成立する出来事だけれど、やはり違う。全然違う。わたしたちは自分たちの結婚を正解に導いていこうと必死になってしまったのだと思う。自分の気持ちを口に出す、ただそれだけのことなのにいつしかそのやり方さえ分からなくなった。
いつか誰かを愛せるときが来たら、気持ちを全て言葉にして伝えよう
念のためもう一度言うけれど、やはり結婚は素晴らしい。結婚をしなければ、思いやりだとか優しさだとか、分かっているつもりだった言葉たちを本当の意味で実感出来ることもなかった。そしてきっと、こんな気持ちを体験出来ることはなかった。それはそれは大切で温かく、とにかく素晴らしい感情だ。
いつかまた誰かのことを愛せるときが来たならば、わたしはその時々の気持ちを全て言葉にして相手に伝えようと思う。まとまっていなくても、順番がめちゃくちゃでも、出てくる言葉のまま伝えようと思う。そうするには時間が必要だったり、時には距離が必要だったりもするかもしれない。けれどもそれが大切な人を失わないようにする最高の方法だ。そして今のわたしには、もうそれが出来る。
どんなに大切な人との間にも、いつか、もしくは突然に、別れはやってくるだろう。ふと、大切な人を思い浮かべた時、胸をチクリと痛めるのではなく、楽しかった、愛しかった時間に、目を細めていたいと思うのだ。