「あなたが職場のみんなと一緒に働くのは、相当大変だよ。」
主治医に言われた。
「私が社会に出て働いていける場所は、ないんだ。」そう思った。
うつ病により働くことが出来なくなり、休職して1か月後のこと。
IQを図るために心理検査を受けた。
元々、義務教育での勉強が得意ではなかった私。
結果は、平均を下回っていた。
それでも、勉強ができないと自覚していた私は、結果を聞いても落ち込むことはなかった。
休職してから、主治医やカウンセラーに「コミュニケーションが困難なのではないか。」「なにか障害があるのではないか。」と、障害を疑われることが多かった。
私は本当の気持ちや感情を表に出すことが出来ない。
言葉にして、表現することも出来ない。
主治医やカウンセラーから発せられる言葉を素直に、ただただ受け取る。
でも、私に感情が無いわけではない。
当たり前に過ごしてきた日々に、自分が障害を持っていると自覚したことはないし、コミュニケーションだって、友達とは困難なく話すことが出来るし、初めて会った人ともそれなりに話すことができる。
なんとも言えない憤りを感じた。
しかし、それを伝えることが出来ない。その時には、受け入れる選択しかなかった。
その日から、コミュニケーションが困難で、グレーゾーンの障害を持つ人として生きた。
そんな時に主治医に言われた。
「あなたはIQが低いから、周りの人と働いていくのは相当大変」だと。
すべてを否定された気分だった。
社会貢献が出来ないと感じた私は、生きている意味すらわからなくなった。
話したいことを箇条書きにまとめたら、しっかりと話せた
しばらくして、体調も良くなり、なんとしてでも職場に戻りたい私は、主治医に勧められたリワークに通った。
リワークは、休職中の人が復職を目指して、自分自身を見つめ直す場所だ。
そこでは、少人数で話し合う機会が多々ある。
そこで私は、気づいた。
自分の考えや思いを整理する時間があれば、話すことができる。
先日、みんなの前で発表できる機会があり、「しっかりと話せているよ。」と、
好評をもらい、その言葉に勇気や自信がみなぎった。
しっかり自分の考えを伝えなければ、本当の自分は他人が作った別人になってしまう。
だから、私は話したい事を紙に箇条書きでまとめ、カウンセラーに思いを伝えた。
すると、今までコミュニケーションが苦手だと思っていた私に対して、カウンセラーが言った。
「お話するのが、上手ね。」
出来ないと思われていたことが、言葉によって変わった。
他の人が難なく出来ること、私には努力が必要だけど…
あの頃は考えることも出来なかったIQについても調べた。
心理検査は、ある一定の能力を図るために行われるものであることを知った。
私には、得意なことがある。
それは、文章を書くこと。
きっと、あの時、検査では図ることが出来ないことに私の得意な能力はある、そう考えることにした。
だから、私はここで証明したいと思った。
文章を書くことができること、自分の思いを伝えることができること。
主治医の一言、勇気と自信を与えてくれたリワークでの一言が、この文章を書くことにつながっている。言葉は行動を変えることができる。いい方にも悪い方にも。
そして、ここから発信していきたいと思った。
障害や疾患を持っていたとしても、できることは必ずある、と。
私は、他の人が難なく出来ることが出来るようになるためには努力を要する。
でも、私が得意としていることは、苦手としている人がたくさんいることを知った。
障害や疾患を持っていなくても、潜在的な能力に差はあると思う。
だけど、みんなそれを「これで当たり前だ。」と思っている人が多いのではないか。
その「当たり前」は、人それぞれ。あなたは私ではないし、私もあなたではない。
だから、伝えたい。
自分が難なくできることでも、出来なくて生きづらいと感じている人もいるかもしれない。
そう思うことで、優しい一言をかけることができること。
私は、そんな優しい一言に何回も助けられた。
私の一言が、誰かの勇気につながりますように、願いを込めて。