私は中学生の頃、同じクラスに好きな男子K君がいた。
そのことを仲の良かった同じクラスのMちゃんに相談していた。Mちゃんはとても応援してくれて、「告白してみなよ」と言ってきたりしたが、告白というものをしたことがなかったため、どうしていいかもわからなかった。そして自信もなかった。
しかし、Mちゃんの応援に後押しされ、結局告白した。
応援してくれていた友人が彼女になり、秘密にしてほしいとお願い
そして告白した後は、なぜかわからないが変な自信があり、OKされると思っていた。しかし結果はNOだった。そのことを伝えるとMちゃんも励ましてくれた。それから一週間くらい経って、いつもとは違う真面目な顔をしたMちゃんが、「あとで話がある」と言ってきた。すぐにできない話なのかな、なんの話かなんだかすごく気になっていた。
それは「実はK君と付き合ったんだ。本当にごめん。」との話だった。そしてこのことは秘密にしておいてほしいと言われた。その時私は「なんで」と思ったが、おめでとうの言葉をかけた。
その日は、MちゃんもK君のことを好きだったのかな、どっちから告白したのかな、などのいろんな疑問が浮かんできた。あんなに応援してくれていたのになんで自分が付き合ったんだろうとも思った。
たまらず2人の話をAにもらし、返された言葉は想像しないものだった
その日の放課後に、部活の友達であったAと公園で遊んだ。励まして欲しくて「Mちゃんに秘密にしてって言われてるんだけど、MちゃんとK君付き合ってるらしいよ」と話した。
Aも私がK君のことを好きだったことを知っている。その時は、辛いよね、かわいそうになどとAに同情して欲しかった。
するとAが「あんたって口軽いね」と言った。私は一瞬その言葉の意味を理解するのに苦労した。その言葉を聞いてから自分が返事をするまでの時間が長く感じた。実際にその言葉に対して返事はしなかった。何にも返す言葉が見つからなかったから。
また、なんだか自分自身を否定されたようにも感じた。自分の味方は誰もいないのかとも感じた。心の弱っていた私には、とても強い言葉に感じた。
怒りではなく、恥ずかしいでもないが、すごく心臓がバクバクして苦しくなった。重たい石が2つドンドンと胸に引っかかっている感じだった。友達が自分の好きな人と付き合ったということにどうして同情してくれないのだろうかとも思った。そして、AもMちゃんもそばからいなくなってしまうのではないかという不安に襲われた。
2人が交際したことよりも「口軽いね」の言葉が頭から離れない
その日は、MちゃんとK君が付き合ったこと、Aからの口軽いねと言われたことの二つの出来事があった日であるが、圧倒的にAから言われた言葉の方が胸に突き刺さっていて、その日家に帰ってからもずっとその言葉が頭から離れなかった。
夜になってから、その言葉についてずっと考えていた。Aはなんで励ましの言葉をくれなかったのか、冷たいと思ったりもした。しかし、Aは正論を言っていた。私は、Mちゃんに誰にも言わないで欲しいと言われたことをAに話したのだ。励まして欲しかったからという自分の勝手で、友達の秘密を話してしまうのは最低なことをしたと思った。また、こうなれば今後Aが私に自分の秘密話や大事な話なども打ち明けてくれないだろうとも思った。口が軽いということで友達がいなくなってしまうことの恐怖を感じた。
このことがあってから私は、自分が口が軽いと思われることを恐れるようになった。だから秘密話を打ち明けられたら絶対に誰にも言わないということを決めている。あの時「口が軽い」と真っ正面から言ってくれたおかげで、自分自身のことを見直すきっかけになった。今ではあの時Aが私に同情してくれなくて良かったと思う。