「あなたの周りに寄ってくる人はあなたの今を好きな人だから気取らなくていいの!」
母から送られてきた一言。私はこの一言に何度も救われている。

「先輩に好かれることだけ考える」。好きな人が出来ると全て「好きな人基準」になる

上京して一人暮らしをしている私にとって、母との毎日のLINEが一日の中で一番癒やされる時間だ。実家にいるような気持ちになる。そのLINEでのやり取りの八割は恋バナ。私は、好きな人が出来ると親友よりも誰よりも先に母に報告する。

その日もいつものように、当時気になっていたバイト先の先輩の話をした。
「わたし、先輩にかわいいって思われたいからダイエットする!!」、「先輩に好かれることだけ考える!」。熱しやすいタイプの私は、好きな人ができるとその人のことで頭がいっぱいになり、何をするにも何を決めるにも、その人がどう思うか、その人ならどっちが好みか、全て「好きな人基準」になりがちだった。そんな娘からの勝手な宣言に母はいつも「またまた、、、」、「がんばってー」とそっけない返事をする。

でも、その日の母からの返事は何故かいつもと違った。「あなたの周りに寄ってくる人はあなたの今を好きな人だから気取らなくていいの!」。突然真面目モードな母の返信に驚きながらも、なんだか頭の隅にあったモヤモヤがスーッと抜けたような気がした。

母の言葉で「好きな人のための自分」を卒業した。ありのままの自分を出していけばばいい

好きな人のために素の自分を必死に隠したり、好きな人の好みの服装に近づけてみたり、無駄に駆け引きしてみたり、思い返すと好きな人に見せている自分は偽りの自分ばかりだった。恋愛を成功させるためにしていたつもりが、気づかぬうちに本当の自分を見失う道に進んでいたなと気づいた。
それから私は「好きな人のための自分」を卒業した。なんだかそのほうが気持ちも楽だし、依存しすぎないで済むし、いいことばかりということに気づいた。

この母の言葉は恋愛だけでなくて、友達付き合いにも言える。特に、私は人見知りという性格もあって、心を開くのにかなり時間がかかる。まだ仲があまり良くない友達の前では、なかなか素の自分を出せず、猫をかぶってしまう。寝る前に、今日のあの発言よかったかなとか、私ってみんなにどう思われてるのかなとか、いろいろ考え込んでしまうことがよくある。

でも、そんな時に必ず思い出すのは母からのLINEだ。自分に寄ってくる人は今の自分を好きな人!だから気取らなくていい!ありのままの自分を出していけばいいんだ!こう言い聞かせると、さっきまで頭にあったことがスッと消える。本当に魔法のような言葉だ。

「笑顔がとっても素敵ですね」。素の自分で面接に挑み、憧れのバイトに採用された

こう考えるようになって、私は小さい頃からずっと憧れだったスターバックスの店員になることに成功している。スタバのバイト面接といえば、他のバイトとは比べ物にならないほど倍率が高く、他では聞かれないようなことばかり聞かれ、求められることも多い。バイトの面接に行くだけなのに、まるでスタバに就職するかのような勢いで、みんな面接に向かう。ずっと憧れであっただけに、私も絶対受かりたいと思い、結構な準備をして面接に向かった。

しかし、一回目の面接はド緊張でうまく自分を出せず、不採用。諦めきれずもう一度チャレンジした。そこで母の言葉を思い出した。気取らず、ありのままの自分を出そう!と心に決めて面接へ向かった。二回目ということもあったのか、自分でも不思議なくらい素の自分で面接を受けることができた。面接官も「笑顔がとっても素敵ですね。」と褒めてくれた。
結果は採用だった。ありのままの自分が認められたような気がしてすごく嬉しかったし、これでいいんだと自信がついた。

それから私は「ありのままで」をモットーに日々過ごしている。「誰かのための特別な自分」ではなく「ありのままの自分」を大切に。魔法のような言葉を教えてくれた母に感謝したい。