悪いところを直すチャンスを与えてくれなかった彼
私はふられた。正直、明確な理由は分からない。
ポーカーフェイスが上手だった彼。ふられることは全く想定していなかった。
いつも通り彼の家に行き、夕飯を作った。
そして食べる前にふられた。
(ここで一言苦言を呈すと、「あーあ、この後二人分を食べなくちゃいけないのか。」と彼が言い放った。あんまりではないか?)
私がワガママだったから?
愛が重かったから?
気遣いができなかったから?
いろいろなことが思い当たるし、おそらくはその積み重ねだと思う。
私は言いたいことをはっきり言うタイプ。彼に負担がかかることは目に見えていたから、付き合いたてのときに、「嫌なこととか直してほしいところは言ってね」と告げた。
それなのに彼はずっと何も言わず、ふるときにだけ、悪いところを言ってきた。
私は自分の悪いところを直すチャンスがなかった。指摘されたことを直すことは得意なのに。ずるい。
私と彼は「合わなかった」だけ
別れて2年が経とうとしている今も、よく思い返している。
あのときなんて言えばよかったのかな。
どうすればもっと気遣えたのかな。
どうすれば愛が重くならなかったのかな。
それと同時に、思い出す。
全然話してくれなくて、楽しくなかったお出かけ。
今日の出来事を話そうとして、遮られる話。
クリスマスに用意せず、1カ月遅れで義務的に返してきたプレゼント。
苦しかった。
あのときは、私が一方的に悪いと思っていた。
もちろん、私にも非があった。
でも彼が別れる際に言っていた「合わなかっただけ」
あれは気休めの言葉じゃなくて、本当の言葉だったのかもしれない。
彼の前では感情がコントロールできなくなる。悪態をつきたくなってしまう。
不思議と、自分の思い通りになってほしい、困らせたいと思ってしまうのだ。
そして彼は私の苦しみを理解しようとしてはくれなかった。すべて、感情のコントロールができない私のせいにしようとした。いつも人を見下して、馬鹿にしているような態度だった。
きっと彼以上に好きになる人はいないだろうし、それでもって彼と付き合い続けることは無理であったであろう。
周りには、「だからあんな男やめとけばよかったのに」と言われ続けている。
でも私は一回もそんなことを思ったことはない。
苦しかった片想い。ワクワクしたデート。初めてできた彼氏。たくさんやってきた馬鹿。
付き合ったことに後悔をしたことはない。
前に進むため、プレゼントをメルカリに出品した
でもいい加減に前に進むこととしよう。
彼は私の誕生日にメッセージを送ってきたが、私は彼の誕生日を祝わなかった。
彼はタバコを吸い始めたという。私はタバコが大嫌いだ。それを聞いて、もう元には戻れないと知った。
そしてついに私はずっと捨てられずに持っていた、彼からもらったジェラピケの部屋着をメルカリに出品した。
私の怨念のこもったジェラピケが、誰かの手元に渡ることを少し申し訳なく思いながら。
これが売れたら、そのお金で自分に合う、自分への愛情を込めた新しいジェラピケを買うとしよう。