着物は特別なもの、高級品というブランディングで成り立っている。これを「着物の高価格戦略」というらしい。その言葉を聞き、私も含めた多くの人が抱いている着物は、ある種のイメージ戦略によって作られていたと知った。

私は高校生ぐらいの頃から日本文化に興味があって、とりわけ日本文化の中でもカワイイデザインのものに目がない。例えば落ち着きがありつつきれいな、日本の伝統色で描かれた桜モチーフ、千鳥のモチーフのデザインなどなど。そんなレトロなデザインが描かれている手ぬぐいのような和雑貨には目がない。レトロな街並みにある雑貨屋さん巡りなら何周しても飽きない気がする。

こんな感じで高校生の時から日本のレトロな文化に興味があった自分。そんななかで、特に着物に興味を持ち始めたのは大学生になってから成人式で振袖を着た時から。選ぶ時も髪飾りや髪型とのコーディネートをじっくり考えるのはドキドキわくわくしたし、当日も華やかな振袖を着ていられるのがとても嬉しかった。この時に私は、成人式の一度きりだけではなく、もっと着物を着たい!と思った。

この時から何か着物に触れられる機会はないかな、とインターネット上で調べたときに、初めて普段着としての着物の着方を知った。そして、普段着なら気軽に着ることができると思い、通販で初めて自分の着物を買った。

届いた着物を間近で見るととてもツヤツヤと光り輝いていた。私は今まで化学繊維のツヤは何度も触れてきた。しかし、100%の自然素材を用いて職人さんの手から作られる輝きはこんなに綺麗なんだと初めて知った。

いつでも気軽に、普段着として着物を着る世界

そして、実際に自分が着こなせるようにするために着物の普段着としてのコーディネートをSNSで調べることもした。すると、洋服のように着物も帯、襟、帯締め、帯留め、着物、草履などの色やデザインを組み合わせてコーディネートを楽しむことができることを知った。
また、それらのコーディネートはとても素敵だった。

春をイメージしたコーディネートで、全身を桜色や薄い黄緑色で統一したもの、また現代のイベントに合わせてクリスマスやバレンタインのテーマのコーディネートなど。こんな素敵な着物の世界があることを知った。

今はその用途としてはスポットライトがあたっていないが、確実に洋服が普及する前には多くの人に親しまれていた、いつでも気軽に着るという着物の着方。
私は、洋服が日常着として普及してからずいぶんと月日はたったけど、こんなふうに着物のコーディネートを楽しめるような和服を着ることのできる暮らしが今後ももずっと続いて欲しいなと思った。

そんななかで、大学の授業内で着物について調べる機会があり、その時にこの「高価格帯戦略」のことを知った。これは明治時代以降、日本人の身にまとうものとして着物に代わって普及し始めていた洋服=日常着と差別化するために着物=特別な時に着るものというイメージをつけ、高額で取引するための戦略だった。そして、大きな単位で商品の売買が活発に行われていたバブル期は成功した。

しかし、バブル期の後は高価格帯の購入数が少なくなった。また、この着物=高級品というイメージが広まってしまったからこそ、多くの人の間で着物に日常的に触れる機会がなくなってしまい、近年呉服業界は大幅に縮小しているという。
このままでは、昔の日本人がみんな着ていた着物が近いうちに日本国内で着ることが出来なくなってしまうのではと感じ、とても悲しくなった。

私の行動がきっかけで着物を楽しむ人が1人でも増えてくれたら

着物の魅力を感じ、また呉服業界の現状を聞いて私は将来、特別な時に着る着物以外の着物にスポットライトをあてた着物の魅力発信をしていきたいと感じた。
それは、SNSや店舗での活動どちらになるかはまだ未確定であるが、どちらにせよ、着物を着た時のワクワク感や楽に着ることのできる着物の着付けの仕方について紹介したいと思っている。
そのためには、まず自分自身がもっと着物について知見をつける必要があると思う。

もっといろんな素敵な着物に出会ってみたいし、着付けだってもっと綺麗に着付けできるようになりたい。
自分自身も着物を着るのを楽しみながらも、自分の行動がきっかけで着物を楽しんでいる人が1人でも増えてくれたら嬉しいなと思う。