大学4年生の1年間で、私のジェンダーに対する考え方は大きく変わった。

きっかけをくれたのは友達。視野を広げてくれたのは、ジェンダー学の講義。最後のオンライン授業で、先生が残した「半径5メートルの世界を変える人になってください」という言葉について深く考えたい。

友達から「同性愛者」とカミングアウトされ、私はジェンダーを学んだ

大学1年生のときに、女友達が当時付き合っていた人の写真を見せてくれた。楽しそうに写るのは、友達と恋人の女の子。「え?」とは声に出さなかったものの、一瞬息が詰るような空気が流れ、全く未知のものを見たという驚きの表情をしてしまったことを憶えている。

友達は女子校出身で「女子同士で付き合うこともある」と教えてくれた。私にとっては、他人からの初めてのカミングアウトだった。

あのとき、私はなぜ同性同士のカップルを見て「え?」と感じてしまったのだろうか。もしも、カミングアウトを受けたときに、どのような反応をすればいいのか。そんな疑問を抱えながら、大学最後の1年間でジェンダーを学ぶことを選択した。

私自身は異性愛者(ヘテロセクシャル)だ。アニメを見れば男性キャラがかっこいいと思い、アイドルであれば男性アイドルを応援する。でも、本当に異性愛者は同性に全く興味がないのか? 私なら「全くないとは言い切れない」と答える。

今まで全く関わりがないと考えていた異性愛、同性愛を身近なものに

性的指向(魅力を感じる性別の方向性)の複雑さを表わすものとして、キンゼイ・スケールという表がある。異性にしか全く興味がない0~同性にしか全く興味がない6までの項目があり、1番自身に当てはまるものを選ぶ。

私の場合、1(主に異性に興味があるが、同性に興味が全くないわけでもない)だった。異性愛者だから、0が正しいという訳では全くなく、1や2(たいてい異性に興味を抱くが、同性に興味を抱くこともある)と答える人は多いようだ。

キンゼイ・スケールから考えると、異性愛、両性愛、同性愛の境界は非常に曖昧だと分かる。今まで全く関わりがないと考えていた異性愛、同性愛を身近なものに感じた。ジェンダーに対する視野が少しずつ広がっていく。

身近にLGBTQと呼ばれる人々がいることに気がついたのが、カミングアウトを受けた大学1年生のとき。自分自身では気がついたのが、とても遅かったと感じている。

LGBTQという言葉自体も、大学生になるまで詳しくは知らなかった。その原因は、身近にいたセクシャルマイノリティの存在に気がつかなかった、もしくは、“見えないこと”にしていたからだと考える。

LGBTQの人口比率としては、全人口の3~5%、統計ではクラスに1人は当事者がいるといわれている。小中高とカミングアウトを受けることはなかったが、もしかしたら身近な人が当事者であったのかもしれない。

私は、LGBTQ当事者ではないが「理解し応援できる人」になりたい

ジェンダー学の講義を受けて、“アライ(性的マイノリティの当事者ではないが、理解を示したり、応援したりする人々)”になりたいと強く感じた。日本でも同性婚が認められて欲しいし、もっとLGBTQと呼ばれる人々が生きやすい社会を目指したい。

学生の1人であり、もうすぐ社会人になる私に何ができるのだろうか。それは、自身の“半径5メートルの世界”を変えることだ。

まず、LGBTQ関連の書籍を購入して知識を得ること。本を買うことによって、資金面で当事者の団体の活動を応援することに繋がる。また、より深く知識を得ることによって自身の世界に対する視野を広げることができる。

そして、身の周りのジェンダーに関する疑問に声を上げ、自身の言動を意識すること。例えば「彼氏・彼女はいるの?」といった人の性的指向を断定するような、無意識の偏見に当たる言葉を使わないこと。LGBTQに関する会合があれば、積極的に参加したい。

今後、もし身近な人からカミングアウトを受けることがあれば「教えてくれてありがとう」と真っ先に言える人になりたい。