会ったことがない2人を信じるのか、目の前の優しい彼を信じるのか

彼との出会いは、facebookだった。
メッセージを重ねるうちに次第に惹かれあい、直接何度か食事に行ってお付き合いすることになった。
当時の彼はクリエイターを目指し、一人暮らしをする余裕がないという理由で女友達とシェアハウスに住んでいるということであった。私が心配するだろうから家を探すと言い出したので、思わず一緒に住もうと声をかけた。
その頃の自分自身も、仕事の人間関係で悩んでいて、誰でもいいので誰かと一緒にいたかったんだろうなと振り返ってみると思う。

そうすると不思議なことにインスタグラムで2人の女性からメッセージを頂いた。1人は、彼と以前に付き合っていたという女性A、もう1人は最近まで彼が一緒に住んでいた女性Bからだった。
2人のメッセージの内容は一致していて、以前の彼女Aは浮気をされたことで別れて、その矢先、好意を感じ取っていた彼女Bの家に転がり込んだという内容だった。どちらのメッセージも傷ついた心情が伝わってきて、何故かメッセージのやりとりをしてみたのだ。
衝撃だったけれど、全くお会いしたこともない2人を信じるのか、目の前の優しい彼を信じるのか天秤にかけて、とりあえず頭の隅に彼女達の忠告を置きつつ、目の前の彼を信じることにしてみた。

SNSで見つけた女性Cは、彼のことを恋人と呼んでいた

数ヶ月は、シロだったと思う。しかし、事件は起こる。
1Rの部屋に2人での生活は私が苦しく、広い家に引っ越しをした。もちろん家賃も上がり、彼の負担額も増えた。それでも都心で生活するには格安だと思っていたのだけれど、彼の価値観では違ったみたいだった。
「家賃が高くて生活費が苦しい」や、「私が無意識に価値観を押し付けて彼を振り回している」など意見するようになった。お金で解決する方が早いかなと思って、彼が家賃の払えない月は私が負担をして、光熱費も私が払うようになっていた。

私もクリエイトすることでお金をもらっているので、次第に彼の思う将来像に対して現実的でない彼の時間の使い方や物事の考え方が、疑問に思えて見下してしまっていたのだと思う。
自分にはない繊細で柔らかい部分が素敵だと思っていたけれど、それは努力や芯の強さがあってのしなやかさではなく、どれも怠惰の仮面にみえて、醜く感じてしまっていた。

その頃から彼の朝帰りが目立つようになっていた。以前にもらったメッセージが頭の中で何度もぐるぐる駆け巡った。インスタグラムで彼のフォロワーをチェックしていくと、すぐにヒットした。見つかるだろうと思っていたにもかかわらず、頭が真っ白になり息ができず、胸が苦しくて仕方なかった。
何故こういう時に、人は隠せないのだろうか。新たな女性Cの自己顕示欲によって、彼の浮気を見つけ出すことができた。
女性Cは彼のことをSNSで恋人と呼んでいて、私の家族が亡くなって私が実家に帰省している時にさえ、彼との幸せをSNSに発信していた。家にいると常に頭痛と吐き気で何も食べられなかった。仕事をしているときだけが何も考えなくてすみ、会社で食べるご飯が一番美味しかった。

自分はどういう人間とは相性が良くないのかを学んだ

彼がその女性Cにどのように私生活を説明していたかはわからないが、30手前の男女なのだ。さすがに、訳ありだと気付くだろうし目につくようなところで発信されたのには、ひどく傷ついた。それは、私が傷つくと分かってしていると分かるからだ。
そんな人たちに自分の時間やエネルギーを少しでも使うのがとても馬鹿馬鹿しくなり、彼に女性CのSNSの内容も伝え家から出ていくように促した。

しかし、2ヶ月経っても出ていかなかった。心苦しかったが、彼のお母様にご連絡して、すぐにお金を出してもらい引っ越しさせた。
その後も、彼からは何かと連絡はあったが、一生こういう人間とは関わりたくないので彼からの連絡を全て拒否している。自分はどういう人間とは相性が良くなかったのか、一つ学んだ別れだった。
また、自分の弱っているときに依存するような恋愛はこの先、絶対にしないようにと深く心に刻めた良い機会になった。