被害を受けた当時、田舎の県の中でも、都会といえる辺りにアルバイトに行っていた。自宅からそこに行くまでの電車は、1時間に1本で、間に合わなければまた1時間待たなければならない。

今回はそんな状況で、“軽い”ストーカーに跡をつけられたという話だ。

奴の「私を探すその目」は、ホラー映画のように恐ろしいものだった

私は、いつも朝8時発の電車に乗っていた。乗客の中で多い高校生は、大体その前の7時台に乗っているし、始発駅のため誰も隣に座らない時が多い。

奴は、二つ先の駅で乗車してくる。風貌からして、只者ではないオーラが漂っていた。後にこの人が、“普通ではない”事が分かる。生理的に受け付けない臭いを放っていて、あまり近づいてほしくないような感じの人間だった。

私が出勤の日は、毎回奴が隣に座る。本当に毎回。3両ある電車の中を行ったり来たりしながら私を探すその目は、ホラー映画のように恐ろしいものに見えた。私の隣に座るとしきりに鼻を鳴らし、フガフガと荒い鼻息を立てる。挙句に横顔を覗き込まれ、ジーッとこちらを見ているのが分かる。この行為、もしイケメンがやっていたとしても、かなり気持ちが悪い。

その当時、私は拒食症で痩せ細っていた時期だから、ひ弱そうに見えて狙われたのだと踏んでいる。目的の駅も同じなので計40分間、それをされていたことになる。

帰りの時間帯も、何故か相手に把握されており、ホームに行くといつも待っていた。私はその駅の近くのメンタルクリニックに通っていて、バイト帰りによく通院していた。すると奴も同じクリニックの患者だったようで、待合室で隣同士になった事もあり、私は絶望的だった。

病院側に言っても「知的に障害があるため注意はできない」ということで取り合ってもらえず、病院自体転院することした。そっか、只者じゃないと思ったのはそこかと、やけに納得した。

ストーカー被害、意外と多くの女性が経験していることかもしれない

クリニックまで同じとは…流石に精神的に疲弊してしまった私は、とりあえずバイト先の頼れる先輩に相談することにした。その先輩は、子供がいるお母さんで、年も私の母の年齢に近かった。

先輩はとても親身になってくれて、途中の乗り換え駅まで一緒に電車に乗り、乗り換え駅に車が停めてあるという事で、送り迎えをしてくれることになった。今考えてみてもかなり有難いことだったな、と感謝の気持ちしかない。

乗り換え駅まで電車に乗る時は、奴を見つけると私を見えないようにガードしてくれて心強かった。

ある時、「警察に被害届出した方がいいですかね?」と話してみると「実際に危害を加えられたわけではないからね…」と先輩は話した。私も「確かにそうかもしれない」と思って被害届は出さなかった。

ずっと先輩に送り迎えをしてもらうのが申し訳なくなったのと、拒食症の悪化によりそのバイトは辞めることになった。実際に何かされたわけではないけど、不快になる。このような軽いストーカー被害は、意外と多くの女性が経験していることかもしれないと思った。

私と同じように「ストーカー被害」を受けたら、警察に相談してほしい

今回は、障害があるということも加わって、もし警察に言ったとしても事件として扱われることはなかっただろう。泣き寝入りになる可能性が高い。

でも、私は確実に傷ついた。普通に快活にバイト出勤も出来ないって不快だし、明らかに奴が鼻息荒くして、興奮しているのが恐ろしかった。その傷は、今もジンワリと胸のあたりに残っている。当時は、もっと苦しかった。

今思うのは、一度ダメ元でも警察に相談してみたら良かったということだ。運命が変わるかもしれなかったな~と思ったりする。

だから、同じような被害を受けた女性には、一度警察に相談してみてほしい。どうなるかは分からないけれど、相談はタダでしょう。私は諦めてしまった。でも、他の人には諦めて欲しくない。そんな話でした。