21歳、社会人1年目、夏。私は高校3年生から、3年間お付き合いしていた大好きだった彼を振った。

アルバイト先では心の支えに。連絡をくれて、最高にときめいた

私には、友達にも、インスタグラムにも沢山自慢できるような理想の彼がいた。
彼との出逢いは高校2年生からはじめたアルバイト先だった。
お互い別の高校に通い、年齢は同じだが、アルバイトでは、先輩だったひろくん。

高校生らしからぬ、優秀な働きぶりと、店長に怒られたときに、慰めてくれる彼のやさしさにいつしかひかれていた。
厳しい環境で数多くのアルバイト生が辞めていく中、彼がいてくれたから私はバイトが楽しくて、シフトが被らないかわくわくしていた。

そんな中、ひろくんがアルバイトを突然やめることになった。
当時バイト禁止だったようで、高校の先生にアルバイトがばれてしまったようだ。
その日から突然、ひろくんはアルバイトに来なくなった。心の支えがいなくなって本当にショックだった。連絡先も知らなかったから、もう一生会えないんだなぁって。
ひろくんと会えなくなって1か月後。

当時はやっていたSNSデコログを通して、ひろくんが私に連絡をくれた。2人はつながった。
そこからひろくんとメールをとりあう毎日。彼専用の受信音が鳴るたび、最高に胸がどきどきときめいていたのを覚えている。
そして、ひろくんは、私についに告白してくれて、もちろんすぐに付き合うことになった。

仕事で悩み、暗い彼がうっとうしくなり、現状維持より冒険を選んだ

他校でありながらひろくんと過ごした高校時代、ひろくんと過ごした専門学生時代、ひろくんと過ごした社会人時代。正直、振り返ると本当に楽しいことばかりだった。
未来の自分が想像できず、すこしうつ病になってしまった専門学生時代は、ひろくんが毎日一緒にいてくれて、気分転換に車でいろいろなところに連れて行ってくれたなぁ……。
家族にも友達にもなかなか人に心を開けない私が、唯一なんでも本音を打ち明けられる相手だった。恋人よりも親友に近い感じ。
彼の支えもあり、無事に保育士になれた。

保育士になったある頃、飲み会も増えて、友人がバスケのサークルに誘ってくれた。
当時の私は、ひろくんへの恩や感謝も忘れて、仕事で悩むひろくんがうっとうしくなり、バスケサークルの仲間とつるむことが多くなった。

バスケサークルは、平日でもおかまいなく毎日のように飲み会があり、みんなで合宿にいったり、キャンプしたり、私はどちらかというとプレイヤーではなく飲み会会員のようになっていた。
男女混合で、次から次へと新メンバーが加入してくるバスケサークルは、県外からの転勤でこちらにきている社会人の方も多くて、出逢いが本当に楽しかった。

サークルにいる男性は、有名大学卒業、大手企業で勤める人が多く、正直すごくかっこよかったし、目の保養だった。
次第に、入社して1年目、仕事に悩み暗いひろくんに魅力を感じなくなっていた。

そして私は、現状維持より冒険を選んだ私は、ある日別れを告げたんだ。
ひろくんは本当に大好きだし、一緒にいると落ち着くし、なんでも話せるし、正直兄弟みたいだった。だからこそ絶対に裏切りたくなくて……。
このままじゃ浮気しちゃうよな。そんな自分もいた。絶対に裏切ることはしたくないから、ほかの男性をみてみたい。この気持ちの方向にいくには、誠実に『別れる』選択肢しかなかったんだ。

この時は、交際経験も少なかったから、男女が付き合う関係になれば、ひろくんとのような関係性は、簡単に築けるものだとおもってた。今ならあの時の自分に言ってやりたい。
ひろくんみたいなひと、私の世界にはたったひとりだったよ、って。

別れは本当につらくて、別れてからもひろくんからは、何度も何度も謝罪のメールと、(何も悪いことしていないのに)変わるからやりなおしてほしいって連絡がきた。

 本当に大好きだったし、今だから言えるけど、ひろくんからは無償の「愛」みたいな見えない価値をたくさん与えてもらったからこそ、私とお別れしても幸せになってほしいなぁ、と心からそう思っていた。
だから、本気で好きだったから、一切メールをかえすことはなかったよ。

27歳になった今気づきました。どんな男性とお付き合いするべきか

21歳で別れて、そこから6年の月日が流れた。
21歳から、6人の男性とお付き合いしたけど、心を開けた人は、誰一人といない。
相手に合わせるつきあいしかできなくなっていた。
7年の間で、「あのお店で働いているみたいだよ」「新しい彼女できたみたいだね」とひろくんのゴシップは、よく耳にはいってきていた。

正直ほっとした。新しい彼女と幸せなんだなぁって。
25歳くらいの時に、LINEのアイコンが赤ちゃんになっていた。
あぁ、ひろくん結婚したんだなぁ、ひろくん幸せなんだなぁって、心から温かい気持ちになったのを覚えてる。

27歳。今、友達に会えば、結婚、妊娠、そんなゴシップに正直、毎度焦りを感じてしまう。いろんな人とお付き合いを重ねたけど、ほとんど自分からお別れすることばかり。
だけど、ひろくんの時みたいに心温まる切ないお別れではなく、最近は、
「二度と顔も見たくない、くたばれ!不幸になればいいのに!!」
「どうして私一人幸せにできないの?浮気者!」
「どうせ飽きたんでしょ!地獄におちろ!!」
そんなことを思ってしまうのだ。

いろんな人たちとお付き合いを重ねたうえで、学んだことも本当に多いから正直、腹黒い自分もいるが、彼らには様々な経験値を与えてくれたことに感謝している。だけど、本当に27歳になった今やっと気づきました。どんな男性とお付き合いするべきか。 

そう、私の運命の人はひろくんだった。

だけど、もう結ばれることはないから、ひろくんと付き合っていた時みたいな自分でいられる人と一緒になろうって決めています。
だから、恋に恋する自分とはさよなら。
いまでは、ひろくんとのあの時代の時間が自分のみちしるべだよ。

本当にありがとう。
そしてひろくんこれからもお幸せに。