私には、大学生活のほとんどを一緒に過ごした彼がいた。
大学一年生の春に付き合い、四年生の夏に私から別れを告げた。
「『普通』だったら別れる」。彼にいつも「普通」と比べられた
初めての喧嘩は「元カノが可愛い事件」。
男性によくありがちな、聞いてもいない元カノの話を自慢げに話すやつ。
友達に相談したら、まさに同じ悩みを抱えていてニ人で苦笑いしたのも思い出だ。
きっと多くの女性が同じように傷ついた事があるはず。
そんな話を聞いたら不安になるし、なんで伝えたの?と疑問になった。
そして、この事件がきっかけでSNSで元カノを特定してしまったし、彼のスマホをチェックするようになった。
これらの私の動きは彼も知っていて、その辺りから彼は彼の友達に「こんなことをする彼女と付き合ってる俺、凄くない?」と言いふらしていたという。私は心の中で思った。「そのきっかけを作ったのは、誰?」
「こんな状況、『普通』だったら別れる。だから俺らは特別。」
喧嘩をするたび「普通」と比べられた。
初め、私は初めての彼だったから彼の言う「普通」が当たり前だと思っていた。
私は「普通」じゃないと感じ、自己肯定感はどんどん下がっていく
彼のことを思った上で、正直に思いを伝えるようにしていた。例えば、倦怠期のときは「今、一人になって考えたい。会うのはまた今度にしよう」と伝えた。
彼は「『普通』は、そんなキツイことを恋人に言わない。こんな状況『普通』だったら別れる。だから俺らは特別。」と言った。
この言葉に私は驚いた。私の気持ちは汲み取らずに、否定してきたからだ。それでも、私と付き合ってくれているし、いつも近くにいるから彼の意見は正しいのだろう。
長く付き合うためには、もっと彼の言う「普通」に近づかないと。
「こんな『普通』じゃない私でも、一緒にいてくれるのは彼しかいない」そう思うようになった。
付き合っていると、楽しいイベントが沢山ある。その一方で、私の自己肯定感はどんどん下がっていった。
やっぱり私は彼の『普通』にはなれない、だって私は私だから。そして別れを告げた。
彼の思う「普通」とは彼の中の理想であり、それは私ではなかった
大学四年生になり、私は試験、彼は就活に向け忙しい日々を送っていた。
彼と会う時間が減り、気づいたことがあった。
「彼といなくても私の生活は充実している。彼といない方が、自分らしい。」
恋愛は、一人ではできないことだ。だから三年間の多くの時間を二人で過ごしてきたけれど、一人で過ごすのも楽しい。
遠距離恋愛になる事が決まり、彼から結婚願望を告げられたとき、私は別れを告げた。
結婚したいと思ってくれる人がいるのは有り難かった。
でも私はそれを望んではいなかった。
なぜなら、結婚する事で彼の思う「普通」の奥さんにならなきゃいけない。
私は「普通」を追い求める一方で、彼は友人に私が「普通」ではない部分を苦労話として話すだろう。
彼の思う「普通」とは彼の中の理想であり、それは私ではなかったんだ。
そして何よりも、私の人生は恋愛や結婚だけじゃない、もっと忙しいし楽しい。あなた過ごした時間は楽しかったけれど、今の方がずっと私らしい。
だから、さようなら。