学校でクラスがあった頃は、いつも一緒に行動する友達が決まっていた。毎日会うことが当たり前な友達との関係は、自然に続くものだと思っていた。

そう簡単にいかないと知ったのは、あの頃だったと思う。

小学校卒業の時、友達が引っ越し、毎年「年賀状を出す約束」をした

小学校6年生の時、仲良くしていた女の子の友達がいた。クラスが同じで、毎日一緒にいた。学校以外でも遊ぶ仲だった。放課後に公園で遊んだり、近所のショッピングモールに出掛けたりしていた。私は彼女のことが友達の中で、一番好きだった。

ある日、彼女から卒業したら遠くの町に引っ越すことになったと言われた。そんな漫画みたいな展開が現実にあるんだなと驚いた。でも、また会えるだろうと軽く考えていた。

当時、私は携帯を持っていなかった。卒業後の連絡手段を考えた時に、年賀状を思いついた。毎年、年賀状を出し合っていたから、卒業後も年賀状を出す約束をした。彼女は「卒業しても覚えててね」と言って、引っ越し先の住所を書いた紙と、ピンクの画用紙で折ったリボンに名前を書いて渡してくれた。

卒業してから、彼女とは一度も会っていない。彼女の住所が書かれた紙をなくしたのだ。ピンクのリボンは残っていたが、住所の紙はどこを探しても見つけられなかった。年賀状は出すつもりだったし、また会いたいと思っていた。あの時携帯があれば、と紙をなくしたことをしばらく悔やんだ。

もし会えていたらと感傷的になってしまうけど、それはズルい気がする

私のせいで会えなくなったと思っていたけれど、よく考えると彼女の方からも年賀状は来なかった。中学校で新しい友達ができて私のことは忘れたのか、そもそも年賀状を出す約束など忘れたのか。何を考えても確かめようがない。

私は彼女と仲良くしていたかったと、本当に思っていた。でも、会えなくなってから何を思っても遅い。

もし会えていたら、と感傷的な気持ちに浸ってしまうけれど、それはズルい気がする。関係を保ちたかったのなら、会うためにそれなりの努力をするべきだった。

今思えば、年に1回のやり取りだけで繋がっていようとする関係は、長く続かないと分かる。彼女の方から年賀状が来なかったことも考えると、悲しいけれどその程度の仲だったと認めるしかない。

大事なのは連絡先ではなくて「仲良くしたい」という気持ちを表すこと

その後も、私は新しい友達ができたり疎遠になったりを繰り返した。友達なんてそんなものかなと感じていた頃、大学で気の合う友達と出会えた。卒業しても仲良くしていたいと思った時に、もう会えない彼女のことを思い出した。

彼女とのことがあってから、連絡先が分かれば関係は保てると思っていた。でも、連絡先を知っていても疎遠になった友達もいた。大事なのは連絡先ではなくて、「仲良くしたい」という気持ちを表すことだった。それは会えなくなる前に伝えないといけない。

考えてみれば、普通のことだ。毎日会うことが当たり前の関係だったからこそ、そんな簡単なことを疎かにしていたのだと思う。気づくまでに時間が掛かった分、失った関係が多くなってしまった。

大学の友達とは、卒業して一年経った今も連絡を取っている。先日、久しぶりに会って遊んだ。私から「会いたい」と連絡をしたことが、会うきっかけとなった。本当は仲良くしていたかったなんて、会えなくなってから思うのはもう嫌だから。