お父さん。
いや私は父の事をダディーと言っているので、今回はダディーと呼ばせてもらおう。

ダディーは外国人。
幼少期はダディーの姿は自慢でしかなかった。
他の大人より身体が大きく、英語をスラスラをしゃべるダディーは皆の注目の的。
私は誇らしくて仕方がなかった。
今でいう、自分の彼氏、外国人です。
カッコイイでしょ??っみたいな。

ダディーは他人ではないのだけれど、家族・親戚とはまた違った感覚

だけど、私達はあまり会話ができない。
私は英語が分からない。
父は日本語が分からない。
会話といった会話はしたことがなかった。

ダディーという存在は他人ではないのだけれど、家族・親戚とはまた違った感覚だった。
週に1回ほどしか帰って来ないダディー。
そのダディーとの時間は、今で言うと、同じ職場のとっても仲良しの先輩がお家に来る。そんな感じであろうか?

ちょっと気を使う感じ。
だけど嫌ではなかった。
ダディーの事は嫌いではなかった。
優しかったから。
毎回新作のディズニーのビデオを外国から取り寄せてくれる。
誕生日の時、ダイエット中だったダディーは、ケーキを食べなかったけど、私達が作ったケーキだけは食べようとしてくれた。

なんで英語を喋れないんだろうって、心の底から思った

ダディーとの1番の思い出はお布団に入って一緒に絵本を読んだ事。
兄にイジメられて泣いていた私をダディーは自分の寝床へ案内し、アメリカの絵本を読んでくれた。
一生懸命英語を読んでるダディー。
全然物語は意味分かんなかったけど、めちゃくちゃ嬉しかったんだよなー。
あれだけは鮮明に覚えてる。

あ!でもやっぱり幼稚園バスのお見送りしてくれたのが1番の思い出かも。
バスに乗っていた友達がダディーを見て、デケェ…カッコイイ…って言ってて嬉しかった笑笑笑。
ダディーとの思い出はあまりないけど素敵な思い出。

中学の時、ダディーは癌で入院したね。
私、あの時のダディーをあまり好きじゃなかったんだと思う。
自分にも苛々した。
だってね?言葉が分からないの。

お母さんはダディにつきっきり。
英語も分かるから、身体が動かないダディーのヘルプがわかるの。

お母さんが知り合いの人と喋ってる時。
私とダディーは病室で2人きりになった。
ダディーは苦しくなって、私に苦しそうに何かを伝えた。
その言葉が分かんなくて、私はどうしていいか分かんなくて、苦しそうだと見るだけしかできなかった。

看護師さんがやってきて、ダディーがママ、ママって叫ぶから、ママを呼んだ。
あの時、なんで英語を喋れないんだろうって心の底から思った。
悔しかった。

目指すは漫画家。漫画が成功したら、海外で仕事をするのも目標です

ダディーは中学2年生の時に亡くなった。
亡くなる何日か前にダディーと私は喧嘩した。
お母さんがでかけていて、弟と私、ダディーが家にいた。
私、あの時苛々してた。
いつも一週間しか帰って来なかったのに、今さら四六時中寝込んでテレビをつけて寝室でテレビの音だけ聞こえてる。

ダディーが弟にテレビをつけてと言って、弟がテレビをつけた時、私はそれを止めた。
電気代がかかる!って思ったの。
あの時の自分をぶん殴りたいわ。

ダディーは怒った。私は壁を足でキックして、大きな音を鳴らす。
弟は泣いていた。
お母さんが帰って私に言った。
ダディーが、自分のお葬式をやる時、きっとあの子は泣かないだろうって。
ボロ泣きしたわアホ。

ダディー、今私は漫画家を目指してます。
漫画が成功したら英語を勉強して、海外で漫画の仕事をするのも目標です。
この悔しさがあるから、私は苦労して英語を学ぶという感情があってよかったし、人間的にも成長できるんだとおもう。

私が伝えたたい事は1つ。
あなたみたいなファンキー人間になりたい。