私は高校に行くまで、パパの温かさや優しさに気づけていませんでした。
その頃の私はお父さんが怖くて、まともに話したことがなかった気がします。
退部の決意を告白した日、初めてパパと面と向かって深い話をした
高校1年の春。私は中学からやっていた部活を辞めるといいました。
両親は驚いていました。『どうして?』
素朴な疑問が私の胸に刺さりました。苦しかった。
涙がこぼれない様に理由を話しました。
『私の同じ代の子が校則を破って辞めさせられそうになってるの。でもね、先輩もやってたし、なんで、その子だけ辞めさせられるの?バラした先輩はなんで平気なの?おかしいでしょ?その子だけ辞めるなら、私もやったことあるし、他の子もやった事あるから同罪でしょ?だから辞める』と伝えました。
先生やコーチ達も、怒ったのか呆れたのか辞める事を許可しました。
でも、パパは、顔を歪めました。
そして疑問を持ったそうです。
私が、本当に、この部活が好きで同じ代の事も大好きで、この子達もこの部活が大好きなことを知っていたからです。
私は、初めてパパと面と向かって深い話をしました。
お父さんは、『オリンピックに出れたかもしれなかったのに、海外に行くのを断ってしまった事を後悔している』とパパの心の奥底に眠っている気持ちを甦らせて沢山話してくれました。
私は、パパと話しているうちに辞めたくないな、という気持ちが大きくなってきた事を覚えています。
「辞めさせないでください」。パパが伝えてくれた私の気持ち
でも私は変に頑固だから、辞める気でいました。
すると、部活が休みの夕方にミーティングだと言われ、高校一年生だけが会議室に呼ばれたのです。
会議室につくと、なんと!先生やコーチはもちろんの事、私達の親も席に座っていたのです!
ミーティングが始まり、パパが『この子達を辞めさせないでください。続けさせてください』と、先生やコーチに伝えてくれたのです。先生やコーチの答えは『この子達次第です』その一言だけでした。
そして、沢山話し合いをして、沢山泣いて、言いたいこと全部言えて無事に辞めずに済みました。
あの時すごく泣いて嗚咽もすごくて過呼吸になりかける人もいて、みんなの気持ちが身体から漏れていたなぁ、と今でも思います。
あの事件がなければ今の私も、パパと深く話すこともなかった
高校3年生の夏。最後の全国大会。
そこで、第2位という成績を残すことができました。私達の学校で全国2位は、何十年ぶりとかでとっても、盛り上がりました。
私は、あの時頑固に辞める!って言って辞めていたらすっごく後悔していたと思います。
あの時、パパが真剣に向き合ってくれていなかったら、感謝の気持ちや今ある温かい気持ちは学べなかったです。
そして、先生やコーチが辞めろ!って言ったのも、私たちに期待をし、私たちを強くする為だと気づけました。
同じ代の絆も確認できたし、生活こそしっかりできない人は上に行けない!っていうこと、今ある環境に感謝する、という気持ちが大切なのを学ばさせてくれました。
この辞める!事件が無ければ、私は今でもお父さんとは話していないでしょう。
今では、2人でコンビニに行ったり、映画に行ったり、沢山相談に乗ってもらっています。
1番嬉しいのは、パパが『これどうやってやるの?』って尋ねてきてくれたりする事です。昔は完璧なお父さん!なんでもわかる!っていう感じだったのですが、今では機械音痴なところとか見せてくれます。
本当に、かわいいです。
家族で過ごせるのが私の幸せです。
パパいつもありがとう。今度はサシ飲みしたいな、と伝えたいと思っています。