気づいてしまった。恋人がいなくても十分に楽しい。
私が必要としていたのは、いつかいなくなってしまう恋人ではなくて、たまに会って話を聞き合って、笑い合える友だちだったんだ。
自粛疲れがピークに達し、マッチングアプリを使い「友だち」を探した
昨年の10月に新型コロナの自粛疲れがピークに達し、マッチングアプリを1ヶ月間使い、10人の人に会った。男性も女性もいた。恋愛対象を探すというのではなく、純粋に人と話がしたかった。知り合いではないから、自粛自粛と言われている中で会うのにちょうどよかった。
近所で会える人がよかったので、相手の表示を自宅から2キロ以内に絞って、スワイプしていく。左左左左左、右。「変な人じゃなさそう」という直感に頼った判断をする。マッチしてチャットでのやりとりが始まると、体目的ではないかの判断も。私はすぐに会いたい割に、体の関係はいらないというわがままだったので、この段階で会えそうな人は結構絞られた。
使っていたのは、マッチングアプリの中でも、ダントツで遊び目的の人が多いと噂を聞くものだったので、正直、純粋な友だちを作ることはできないだろうと思っていた。
そのアプリを選んだ理由は、単純に他のアプリは恋人を探すことが目的とされていたからだった。一応名目としては、恋人、友だち、仕事など、広い意味での出会いの場として提供されているアプリらしかった。とはいっても、遊び目的の人ばかりなら、1回楽しく飲んで話して、やれない人と分かれば、2度目につながることなんてないんだろう。
マッチングアプリは恋愛だけじゃなく、友だちを探している人もいる
けれど、そんな私の予想に反して、3人の男性とは、たまに会って飲んだり、ご飯を食べたりする仲になることができた。体の関係はない。かれこれ会い始めてから、半年以上が経つ。これは友だちと呼んでも、差し支えないのではないだろうか。
10人と会って3人と友だち、30%、なかなかの勝率である。意外と純粋な友だちを探している人もいるんだとびっくりしながらも、自分と同じようなことを思っている人もいるという事実が嬉しかった。
前に付き合っていた人と別れて、もうすぐ1年が経つ。「恋人は欲しくないの?」なんてたまに聞かれたりするけれど、特にそういう感情は湧いてこない。好きな人と付き合いたいという気持ちは、恋人が欲しいという気持ちとは全く別の感情だなとつくづく思う。
私は前者の感情は持っているつもりだけれど、まず好きにならないと始まらないから、その感情を実感することは久しくしてないし、ただ恋人が欲しいとは全く思わない。
楽しく過ごせる友だちと自分の生活があるから、恋が始まらないのか?
恋人と仲のよい友だちの違いってなんだろう。恋愛感情があるかないかと、体の関係があるかないかくらいの違いしか思い浮かばなくて、ますます一人でいいじゃんと思ってしまう。
昨日焼いたパンがうまくできたとか、面白いドラマを見つけたから一緒に観たいとか、仕事が最近バタバタで白髪を1本見つけてしまったとか、そういうどうでもいい話を聞いてもらったり、自分とは違う環境の相手の話を「うんうん」って言いながら聞いていたいだけなのだ。
楽しく過ごせる友だちと自分の生活があれば、恋愛が占拠する隙間なんてなくて、これではいつまで経っても恋が始まらないわけだなと、落ち込んでもいないのに、ため息をついてみた。