彼氏と別れた。
出会って1年と3ヶ月。初めて会ったときから、なぜかすごく惹かれた。ひと回り以上年が離れていて、自分も既に大人に分類されるのに、彼は物凄くもっとちゃんとした大人に見えた。
出会ったときから彼に抱きつきたかった。無性に触れたかったし、ずっと2人で話していたかった。
別れた理由なんて、どれも全て後付けで、何が本当かさえ曖昧だ
1年以上も前の話なのに、初めて出会った記憶は未だ鮮明に覚えている。彼が何を飲んでいたかさえも。そのくらい好きで好きでたまらなかったのに、どうして私たちは別れたのだろうか。なぜ別れがやって来たのだろうか。
何が変わったのか。自分?相手?環境?どれも正解でどれも違う。
別れた理由なんて私と彼で意見が食い違うだろうし、どれも全て後付けで何が本当で嘘かも本人同士でさえ曖昧だ。
デートをするにつれ、彼のことが「ちゃんとした大人」から「普通の彼氏」になった。年が離れていようが関係なく私と対等に話し、地面に動いているお店の看板の影を足で踏もうとしている姿を見て、私より子供みたいだと思う瞬間もあった。
本気で同棲もしたかった。でもそれも叶わなかった。たくさんの「いつか、しよう」だけが残った。
別れは突然で、彼のある行動と考え方が私には許せなかった。それはどんなに好きでも「別れる」に値する部分だった。そして、私が彼のその部分を受け入れる、また彼を変えよう、とも思えなかった。
何気なく、「カップル 別れ」で検索している自分がいて、本当に別れたいのか、世の中のカップルの別れる、に値する限度はどこなのか、と気になった。それは自分が正常か、堪え性がないのかを確認したかったからか、自分より馬鹿げた別れの原因を見つけ安堵したかったから、どちらかはわからない。
別れてもなお上辺のような後悔をして、仕方のないたらればを繰り返す
私から「好き」だと言って始まり、私から「じゃあ別れたい」と言って終わった。彼の許せない部分が目につき、1週間もしないうちに唐突に別れてしまった。
自分で言ったことなのに、自分自身でもこのあまりにも早い決断力に驚いていると同時に、思考が追いついていない部分もある。
私の心の中は、それでも「最高の記憶を彼の脳内に残したかった」という自己中心的な考えが頭をよぎっている。例えば、あのデートが最後ならもっと可愛い格好をしておけばよかった、とか、もっと笑っておけばよかった、とか彼の誕生日まであと少しだったのに、それまで我慢すれば良かった、とか。
そうやって、別れてもなお、浅く上辺だけのような後悔をし、仕方のないたらればを繰り返し、過ぎたことなのに、過去の出来事の言動を変えて、脳内で新たにシミュレーションをする。それでも結局は別れる方向にどうしても行き着くのだが。
大好きだからこそ、最高の自分を見せたかった。別れてもなお、いつまでも自分を綺麗だと思ってほしかった。綺麗なまま終わらせたかった。この私の醜さがさらに私を傷つける。
付き合う前は、彼に対して、内心こんなにイイ女はいないとテレパシーで送っていた。
会話の所々やLINEの時々。すごく笑うし、基本的には明るい。多分喧嘩もするし、料理もそんなに得意じゃないけど、でも顔をクシャクシャにして全力で笑うよ。ウジウジするし、しつこいけど、でもとにかく自分って最高なの。私と付き合ったら絶対楽しいよ、って彼に対して本気で強気で思っていた。
しかし、実際には「過去いち最悪な彼女」だったかもしれない。もう思い出したくもないかもしれない。
彼には別れの理由を詳細まで言わなかった。それは彼も聞いてこなかったし、二つ返事で別れに対して承諾したから。今頃、「急に振ったヒステリックな女」だと記憶しているかもしれない。
彼といい恋愛をしたから「また恋愛をしたい」と思えるのだろう
綺麗な終わり方なんてないんだな。今はただそう思うだけ。振っても、振られても愛を失ったことに変わりはない。
あなただけが私をこんな思いにさせる。あなただけが私をこんなにもときめかせ、苦しくさせる。そんな照れくさい歌詞みたいなことを、いつもあなたに対して思っていた。
スニーカーの種類や、スターウォーズの見方、あなたを通して知ったこれらを街で見る度に思い出す。やがて思い出す頻度が減り、全く思い出さなくなることは、それでも悲しいと思う。あなたを一生忘れたくない、今はまだそう思っている。
いつか同棲したいと言ったら、あなたはわざと嫌そうな顔をして「いいよ」と言った。それができなかった。そこまでには至らなかった。
別れたことに対して彼を裏切ったとは考えていない。しかし、あなたのことを全部受け入れられると思っていた自分をいつのまにか裏切っていた。
それでも、私はまた恋愛をしたいと考えている。彼とではなく、また別の誰かと。そう思える理由は間違いなく彼がそうさせた。彼といい恋愛をしたからこそ、そう思うのだろう。
「もう恋なんてしない」なんて全く思わなかった。やはり誰かと恋愛をする、人生を共にしたいと改めて思った。思わせてくれた。
これからが楽しみで仕方がない。また誰かと出会い、自分自身も相手も裏切るだろう。しかし、裏切っても、傷つけ合っても、それでも丸ごと愛し合える存在を私は探しながら今後も力強く生きていく。