いつまで、あなたは私の心に居座り続ける気なのだろう。

私はこの春高校を卒業し、大学生となった。せっかく新しい生活が始まったのだから、新しい出会いに新しい恋がしたい。

けれど、そんな私の邪魔をするのは、もうすぐ彼女と6ヶ月目の記念日を迎えるあなた。

私があなたに「振り向いて」って言える勇気がなかったから…

8ヶ月前、私が告白した時、あなたは顔を染めながら少し嬉しそうに照れていたのに、その2ヶ月後、アイドルみたいにお目目がくりくりの可愛い女の子と付き合い始めているのをSNSで知った。

私は「絶対見返してやる、私の方が良かったって思わせてみせる」って思い、スキンケアも丁寧に、ダイエットも今まで以上に努力した。伸ばしていた髪の毛だってばっさり切った。けど、そんなことをしたってあなたが振り向いてくれないことはわかってた。

私は3年生、あなたは2年生。あと3ヶ月もしたら、私はこの学校に通うことはない。あなたと部活で過ごした時間だって、あなたはどんどん忘れていくんだろう。

本当はあなたが振り向いてくれないんじゃなくて、私があなたに「振り向いて」って言える勇気がなかったことだってわかってる。

大会に負け、部活の引退が決まったあの日、あなたは私のところに来て、今までの感謝の言葉を泣きながら何度も何度も私に伝えてくれたよね。私はとても嬉しかったけど、「あぁ、やっぱり私はあなたの恋愛対象には入っていないんだ」って、あなたのその時の言葉で気づいちゃったの。

部活の引退が決まった日。最後にあなたに気持ちを伝えたいと思った

一生懸命練習をしすぎて少し無理をしてしまう努力家なところも、マネージャーの私のことも気にかけて重いボトルを一緒に運んでくれる優しいところも、お互いの好きなバンドの話で盛り上がった時に見せてくれる可愛い笑顔も、全部全部大好きで、誰よりも特別だった。

だけど私はマネージャーだから、チームに迷惑はかけられないから、引退するまでは気持ちを隠さなきゃって今までずっと抑えてきた。でも、大会に負けて引退が決まったあの日。もう会えなくなるんだったら、最後にあなたにこの気持ちを伝えたいって思った。

この気持ちに終止符をつけられるなら、あなたを困らせたいってそう思った。本当は心の奥底では、もしかしたらあなたも私のこと実は好きなんじゃない? って期待する気持ちがあった。だって部活では1番仲が良かったし、一緒に遊びにも行ったし、周りにも良い感じって言われることが多かったから。

だから、私は「実はあなたのことがずっと好きだったよ」って言った。もし、あなたが私のこと好きだったら、「実は俺も好きでした」って照れながら私を見て言ってくれるでしょ?

私はあなたに断られるのが怖くて、「付き合って」と言えなかった

けど、あなたは頬を少し染めて照れるだけで、私の期待していた言葉は言わなかったよね。だから私は焦って、「最後に気持ち伝えたかっただけだから、付き合いたいとかじゃないからね!これからも仲の良い先輩後輩としてよろしくね!」って言った。

違う。嘘つき。本当はあなたとまだまだ色んなことをして、色んな思い出を作って、たくさん一緒に笑い合いたい。ほんの少しの希望を信じて告白したけれど、私はあなたにNOと言われるのが怖くて、“付き合って”の気持ちまでは言えなかった。

だから、あなたが本当はどう思っていたのか、何もわからないままだから、今でもこの恋の終止符をしっかり打てずにいる。あなたに彼女ができた時、私が髪を切ったのは、あなたが打ってくれない終止符を自分で打つためだったのに、髪の毛はもうすっかり元の長さにまた伸びてしまった。

もう8ヶ月も経つのに、私の心にあなたがまだ居座り続けている。あの日、少し嬉しそうに顔を赤らめたあなたが私の心の中にいる。