生理はいつも、隠すべきものとして扱われる

世界三大宗教とされるキリスト教、イスラム教、仏教では月経は穢れとして扱われております。日本でも平安時代から明治時代の千年以上、法的に穢れとされ、つい数十数年前まで『月経小屋』と呼ばれる隔離部屋もありました。

小学三年生のある日、学年の女子が1つの教室に集められました。男子は体育館でドッチボールをするそうです。
教室に行くと、保健室の先生と学年の女性の先生がいて、深妙な面持ちで『月経』について授業を始めました。

小学六年生。親友が「アレの日だから」とポーチを体操着の下に隠してトイレに行くようになりました。「恥ずかしいから」と私に持たせることもありました。

中学二年生の7月、初潮を迎えました。
習い事から帰ると、父がお赤飯を炊いて待っていました。母に「父には言わないでよ!!」と叫びたくなりました。

高校三年生のある朝、生理が始まったことに気がついた私は、トイレでナプキンをポーチに詰め込みました。急いでいた私は、ついつい、残りの生理用品を扉付きの棚に戻すことを忘れてしまいました。
学校から帰ると母から「弟がいるんだからちゃんと目につかないところに戻しなさい」と怒られました。「今度から気をつけないと」と反省しました

大学生になり、一人暮らしを始めました。初めて生理用品を自分で買いました。レジで会計をしてもらうと、トイレットペーパーにはテープが貼られ、ピンクや黄色のナプキンは黒いビニール袋に入れられました。
ドラッグストアを出ると、前を歩く女性も黒いビニール袋をぶら下げていました。「あの人もナプキン買ったんだ」と思いました。

社会人一年目の時に上司から、
「お前は生理のタイミングがわからなくていいな。他の奴らは機嫌でわかる」と言われました。
一年後、その上司と職場で軽く揉めた時、
「生理か?」
と言われました。生理ではありませんでした。

すべてをわかれとは言わない。ただ理解してほしい

幸い私の生理痛は軽い方だと思います。前日にお腹を下し、漬物石でも装着してるのではないかというくらい腰回りが重くなります。でも寝込むほどではありません。中学生の頃、生理痛で部活を休んでいる友人に対して、サボるための口実に使っているのだと思っていました。
それから、機嫌が悪くなります。イライラしている自分の隣で、もう一人の私が「いつもだったらこんなことでイライラしないよね?」と責めてきます。

中学生の私のように、女同士だってわかり合えないときがあります。体は人それぞれ。それぞれの生理があります。
男性にすべてをわかれとは言いません。私だってペニスが付いている体の感覚なんてわかりません。
ただ理解してほしいんです。
「女って生理になると機嫌が悪くなって、扱いがめんどくさい」
「ホルモンの影響?なにそれ。自分でコントロールできるだろ」
そんな言葉で片付けないで、少し気の利いた行動や言葉が欲しいだけなんです。
理解をするには知識が必要です。ではその知識をつけるにはどうすればいいのでしょうか?

もっと生理を当たり前のこととして扱えるような社会に

私が受けてきた保健の授業は小中高校、あの小3の特別授業以外は男性教師が担当していました。
特に記憶に残っているのが、中学3年間、保健体育を受け持っていたA先生。彼は睾丸をゴールデンボールと言い換え、男子を中心に笑いを取っていました。
しかし大いに笑いを取っていた先生が、生理のページになると途端に大人しくなるのです。教科書に書かれた文章をサラッと撫でるように読み上げ、次のページへ進んでしまいます。繰り広げられる下ネタには辟易したけど、当時はその生理の扱い方に疑問を抱きませんでした。

他の教師も同様でした。先生には堂々としていてほしいものだけど、彼らにも羞恥心はあるだろうし、女生徒側に気をつかっていたのかもしれない。
でもやっぱり、女性の体についてサラッと流されていては、授業で身につく知識なんてほとんど0です。

私は女性教師からも生理に関する授業を行ってほしいです(特に男子生徒へ)。
ただ、思春期真っ只中の生徒たちに生理も含めた「性」に関する話をするって難しいです。ヤジを飛ばしたりして、過剰に反応する生徒がクラスに数人はいます(私が通っていた学校だけかな?)。

でもそれは、思春期だけが原因ではないと思います。
自分には絶対に起きない生理、今まで隠されてきた未知なる存在・生理を男子自身、どう扱っていいのかわからないのだと思います。
それは男性教師もです。一般的に隠さないといけないものをいきなりオープンな場所で話せって、難しいと思いませんか?居酒屋でする友達同士の下世話な下ネタトークではないのです。真面目に教えないといけないのです。

だから、男女問わずもっと生理を当たり前のこととして扱えるような社会になればいいと思うんです。そのためには、思春期に突入する前、もっと小さい頃から家庭や学校で生理について知れるようにするべきです。
そこで仕組みなんて理解してなくてもいい。「血が出て、いつもより元気がない1週間」くらいでいい。女性が絶対に経験する身近なものとして、認識さえしてくれればいいのです。
そしてその期間はちょっと優しくしてほしいことも。