眠気とだるさ。いつもと違う腹痛を母に伝えると「胃薬」を渡された

11歳、小学5年生の時に初潮を迎えた。
下校中になんとなくスボンが濡れているような気がして、ダッシュで自宅のトイレに駆け込み、がばっと下半身を覗き込むと、そこにはべったりとした血が……。
「もしかして、授業で習ったセイリとかいうやつか!?」

とっさに思い出した私は、仕事で不在の母の代わりに祖母を大声で呼んだ。
彼女は「あら~今日はお赤飯にしよね!めでたいわあ!」と、汚れたズボンとパンツのまま立ちすくむ私に向かって言い、私の「いや、何がめでたいんじゃい!」というツッコミは、声にならず脳内で響いた。

晩御飯は、祖母の宣言通りお赤飯だった。
母は「大きくなったね」みたいなことを言ってニコニコしている。
こっちは突然下半身から血を出したっていうのに、お祝いムードになる意味がさっぱり分からなかった。

「お母さん、なんかお腹痛い」
「どうしたん?何か悪いもの食べた?心当たりない?う~ん、胃薬飲んでみる?」
小学生の頃、何度か母とこういった会話をして、胃薬を貰った気がする。

なんだか普段より眠い気もするし、いつも以上に何事もめんどくさい気がするし、体もだるい。寝て起きたら、少しラク。
もともと私、外で走り回るより部屋で本を読むほうが好きだし、運動不足? 気持ち悪さの正体が分からない。

謎の腹痛の原因が「生理痛」であると教えてくれたのは、叔母だった

その答えは、ある日突然降ってきた。
「そりゃ生理痛じゃないん?」
うちにお茶しに来ていた母の妹(私からすると叔母にあたる)が、正解をはじき出したのだ。

母は生理の時、多少の眠気や気だるさを感じることがあっても日常生活に特に支障は無く、薬も必要なかったそう(おそらく、祖母も母と同じタイプ)。
一方で叔母は、学生時代に生理中に貧血で倒れ、救急車を呼ばれた経験があったため、私の症状を聞いてピンと来たそうだ。

腹痛の原因が生理だと分かった時、母は一体どんな表情をしていたのだろう。単純に驚いていたのか、気づかなくて申し訳なさそうにしていたのか……。
とりあえず母は、生理痛に効果のある薬を買ってきてくれるようになった。

本当に症状が酷い時だけ薬を飲んでいたのに、中学生になってから状況が悪化した。
腹痛や腰痛、気分の極端な浮き沈み、吐き気etc. 生理中だけでなく生理前も不調が続く。市販薬では、もはや効きが遅い。

「生理マジきつい」と愚痴をこぼしている友人に対処法を聞いてみたこともあったけれど、同じく市販薬を飲んでやり過ごしているらしかった。知識のなかった私たちが出した結論は、「薬飲んで耐えるしかなくね」だった。

「生理痛は耐えるしかない」なんて間違い!頼るべき機関とケアを知ろう

ある時、どうしようもなさすぎて、母に生理の辛さを訴えた。その辛さを経験したことがないから対処法が分からない、とオロオロする母は、例の叔母に繋いでくれた。
そこからが早かった。

まず、叔母のアドバイスで産婦人科を受診し、婦人科系の病気の有無を確認。病気でないことが分かると、その当時は病院でしか入手出来なかった、頓服薬のようなものを出してもらえた。

また叔母は、あくまで最終手段としてだけれど、修学旅行や受験などの重要なイベントと生理が重なり、私が動けなくなることが無いよう、早めに産婦人科に相談し、薬で生理開始日を早めたり遅らせたりする方法も取らせてくれた。
しかも、当初は殆ど理解のなかった母が、少しずつ私の心に寄り添ってくれるようになり嬉しかった。

生理痛は耐えるしかない、なんて完全な間違い!痛みに耐える必要はなく、むしろ大事にすべきなのは、生理に対する正しい知識や頼るべき機関、自分にあったケアなどだ。
気づくきっかけを与えてくれた叔母は、言わば私にとっての『ナイチンゲール』だったような気がする。

30歳を目前にして思う。
生理で困っている子たちがいたら、次は私が彼女たちのナイチンゲールになって、理解を示せるオバチャンになりたい。

あ、最後に一つだけ。部活帰りに制服姿で産婦人科を受診した時のことだ。
「嫌ね、最近は若い子も来るのよ……」とこっちを蔑んだ目で見てきた年配の女性が居た。
言葉は悪いが言わせてもらう。
「生理でも産婦人科は受診すんだよ!理解のないオバサンは引っ込んでな!」