彼が私に好きと伝えてくれたのは、中学生の時だった。幼稚園からずっと一緒で、俗にいう幼なじみとでもいうのか。いや、私の地域はあまりにも小さく、ほとんどの人が幼稚園から中学生までは一緒なので、幼なじみとも言い難い。とにかく昔からの友達に私は「ずっと好きだった」と言われたんだ。

私ももちろん彼の事が好きだった。付き合ったものの、中学生の私達は手を繋ぐだけでドキドキした。中学から高校に上がる時、私達は離れ離れになった。付き合ってるから同じ高校に進学するなんて頭はなく、お互いに進みたい道へと私達は進んだ。

別々の高校へ進学した私と彼。私は彼と仲良く話す女の子に嫉妬した

初めて学校が別になった高校の夏、帰りの電車が彼と一緒になった。すると彼は同じ高校の友達数人と一緒にいた。きっとこんな風景は周りからしたら何もないんだろう。

でも、私にはいつもの彼と違って見えた。それは何故か。彼の隣に仲の良さそうな女の子がいたからだ。

昔から彼は、女の子と仲良く話すタイプじゃなかった。それなのに、今目の前にいる彼は私の知らない女の子と仲良く話している。胸の中が苦しくなった。あぁ、これが嫉妬なんだ……。初めての感情に私は戸惑った。

女子高に行った私には異性と話す機会がない。彼は共学でこれが当たり前なんだろうけど、私にとって異性の学生が一緒に登下校するのは当たり前じゃない。

それからというもの、彼との距離のとり方がわからなくなってしまった。嫉妬とは物凄く不要な感情なんだと、この時知った。嫉妬する自分が嫌で、一方的に私は別れを切り出した。

私のことは忘れて欲しいのに、彼はずっと私を想ってくれている

数年して、成人式の時に元彼にあった。彼は変わらずに私のことが好きだった。大学に行った彼に「他の女の子とも付き合いなよ」と言っても、「○○(私)じゃないと好きになれない」と言った。なんて一途な人なんだろう。

でも、私には彼氏がいた。大学に行ってる元彼と寄りを戻しても、私の嫉妬心がある限り上手くいかない。私のことは忘れて欲しかった。

更に数年して24歳の頃、地元に帰ってきた元彼に再び出会った。お互いにフリーだった。

彼に卒業した大学の学園祭に誘われた。大学に行かなかった私には、とても新鮮だった。もしも彼と同じ大学に行ってたら、こうやって一緒に学園祭をしたり、授業をうけたり出来たんだろうか。それはきっととても楽しそうだ。

彼ほど一途でステキな人はそうそういないだろうけど、私はまた振った

帰りの車の中で、彼は私が好きだと言った。その彼に私は甘えた。何をしなくても好きでいてくれる彼に甘えたのだ。

彼は高校の時私と別れてからずっと、誰とも付き合ってこなかった。ずっと私を想ってくれていた。きっとこのまま彼と結婚するのだろう。そう思っていたが、私はまたも彼を振った。

一途な彼と違って、私は沢山の人と付き合ってきた。沢山付き合ってきたからこそ、いけないとわかっていて比べてしまう自分がいた。前の人ならこうしてくれたのに、みたいなしてはいけない比較を……。

今となれば彼ほど一途でステキな人はそうそういないだろうと思う。私は若かったのだ。

私はこれから結婚する。彼とは違う人と。

彼はどう思うのだろうか。私の事をそれでも好きでいるのだろうか。私がいなくなるまで、彼の恋は終わらないのだろうか……。